『はじめてのおもてなし』:バラバラに空中分解しそうな家族の下にやってきた1人の難民青年。話はとりあえずハッピーエンドで終わるが、目まぐるしいほど早い展開にややついていけなかった。。

はじめてのおもてなし

「はじめてのおもてなし」を観ました。

評価:★★

ミュンヘンに暮らすハートマン家。夫リヒャルトは大学病院の教授だが、後輩の育成は一切せず、Facebookで常に自分の若さをアピールし続ける自己中心男。息子のフィリップはワーカーホリックで、常に自分が働いていないと不安になり、妻は愛想を尽かせて出ていってしまった。フィリップの一人息子(リヒャルトの孫)バスティは12歳にして一流ラッパーを目指している。一方の娘のアスティは31歳にもなって、未だに自分探しの旅の途中で実家に居候。外見から分からないほど一家がバラバラになっている中、母アンゲリカはある日、突然難民の受け入れを宣言する。早速、ナイジェリアから来た青年ディアロに自宅を提供するが……。難民の青年の受け入れをきっかけに、バラバラだった家族が人生を見つめ直してゆく様を描いたドイツ製コメディ。監督のサイモン・バーホーベンは、本作で母親アンゲリカを演じるセンタ・バーガーの息子。

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『犬猿』:互いを妬み合う兄弟の愛憎劇。それぞれの兄弟の感情とパワーバランスがコロコロ変わっていくさまが面白い!

犬猿

「犬猿」を観ました。

評価:★★★★

地方の印刷会社でコツコツ真面目に働くイケメンサラリーマンの金山和成。しかし、その生活は質素そのもので父親が友人の連帯保証人になって抱えてしまった莫大な借金を返済しつつ、わずかばかりに残るお金を貯金する堅実で地味な生活を送っていた。いつも仕事で訪れる印刷工場で働く幾野由利亜は、そんな和成に密かに淡い恋心をいだいていた。しかし、和成がいつも喋るのは妹の真子だった。彼女は姉の由利亜が切り盛りする工場の事務を手伝いながらも、モデルやグラビア撮影などの芸能活動にも精を出しており、周りの男性陣への評判も上々だった。父親の介護をする献身的な由利亜だが、太っている自分と真反対な真子の存在に、彼女は常に嫉妬心を燃やしていた。そんなある日、和成の兄で強盗事件を引き起こし、刑務所に服役していた卓司が出所してきて、和成のところに転がり込んでくるのだが。。対照的な2組の愛憎がエスカレートし激しく衝突しあう憎愛劇。「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督がオリジナルストーリーで兄弟姉妹の複雑な関係を綴る人間ドラマ。

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『ローズの秘密の頁』:精神病施設に半世紀収監された女性を巡る大河ラブロマンス。シェリダンらしい確実な人物描写は魅力だが、お話が思ったほど拡がらなかったように思う。。

ローズの秘密の頁

「ローズの秘密の頁」を観ました。

評価:★★

取り壊しが決まった西アイルランドにある精神科療養施設。転院する患者たちのために再診をするべく訪れた精神科医のグリーンは、赤ん坊殺しの罪で精神病患者として40年間収容されている老女ローズ・F・クレアと出会う。罪を否認し、「ローズ・マクナリティ」と自分のことを訴え続けるローズに、他の患者と違う点を感じたグリーンは早速彼女の診断を始めていく。そこでグリーンは彼女が密かに大事に持っている聖書に、彼女の封印されてきた過去が綴られていたことを知る。その内容を紐解いていくと、そこには彼女が半世紀に渡って抱えてきた驚くべき真実が隠されていた。。アイルランドの作家セバスチャン・バリーによる小説を、「ドリームハウス」のジム・シェリダン監督が映画化した作品。

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『今夜、ロマンス劇場で』:白黒映画の女王様がスクリーンのこちら側にやってくる恋愛コメディ。古臭い設定がやや難だが、主演2人の演技の高さに脱帽した!

今夜、ロマンス劇場で

「今夜、ロマンス劇場で」を観ました。

評価:★★★★

いつか映画監督になることを夢見る健司は、撮影所で助監督をして修行中だが、ドジばかりするうだつの上がらない青年だった。しかし、映画に対する愛情は人一倍。賑わいを見せる通い慣れた映画館で、全ての上映が終了後、古いある一本の映画を観るのが唯一の楽しみだった。そんなある日、その古い映画に登場していた憧れのお姫様・美雪が、スクリーンから飛び出して現実世界に現れる。白黒の古い作品のままの彼女の存在を隠すため、健司は右往左往させられるが、二人は次第に惹かれ合っていく。しかし、美雪にはある秘密があったのだった。。「信長協奏曲」の宇山佳佑によるオリジナル脚本を、「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹が監督したラブ・ストーリー。

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『アバウト・レイ 16歳の決断』:女性の身体に生まれながらも男性として生きることを決断した青年と家族の物語。映画のテーマであるLGBTや多様性のことについて、深く考えさせられる秀作!

アバウト・レイ 16歳の決断

「アバウト・レイ 16歳の決断」を観ました。

評価:★★★★☆

女性の身体に生まれながらも男性としての性意識がある16歳のレイは、心身ともに男の子として生きることを決断する。母親マギーは医師が差し出すホルモン治療など見慣れない資料に呆然とし、動揺を隠せない。一方、レズビアンであることをすでにカミングアウトし、最愛のパートナーとの暮らしを謳歌している祖母のドリーは、レイの新しい人生への一歩を密かに応援していた。レイは髪を短く切り、トレーニングをして、本来の姿を手に入れようと努力する。そんなレイの成長を見つめていたマギーは意を決し、治療の同意書のサインをもらうため、別れた夫クレイグに久しぶりに会いに行く。しかし、困惑する元夫は賛成してくれない。見かねたレイは、マギーに黙って父を訪ねていくと、そこでまさかの家族の秘密を知るのだが。。監督は、「チューブ・テイルズ/ローズバッド」のゲイビー・デラル。

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