『最愛の子』:1つの罪に揺るがされる多くの人の悲劇的運命を描いた作品!

最愛の子

「最愛の子」を観ました。

評価:★★★★★

中国・深センで実際に起こった幼児誘拐事件を基に、「捜査官X」のピーター・チャンがメガホンを取ったヒューマン・ミステリー。予告編を観ていた段階からすごく悲劇的だなーと思ったのは、子どもが親の顔を認識する前の幼児期(3歳ごろ?)に誘拐され、その誘拐した男の妻を親だと思って育ってしまったこと。作品の中盤で、実の親に引き戻されるものの、その子どもにとっては母親と認識している女性が奪われたという悲しい出来事に過ぎない。こうしたある事件が起こした運命の歯車のかけ違いが、ラストに向かって非常に想像だにつかないような方向に転げていく。。なぜ、この話の筋でミステリーなのかと思われる方もいるかも思うのですが、実は見てみると巧妙なドラマの仕掛けにニンマリとしてしまう映画通を唸らせる作品になっているのです。

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『消えた声が、その名を呼ぶ』:大河ドラマとしては見応えあるシーンは続くが、共感できる要素があまりない。。

消えた声が、その名を呼ぶ

「消えた声が、その名を呼ぶ」を観ました。

評価:★★★

1915年にオスマン・トルコで起こった少数民族アルメニア人の迫害事件を基に、1人の男の9年に及ぶ娘を探す旅路を描いたヒューマンドラマ。9年という年月も壮大ですが、舞台がトルコ、レバノン、キューバからアメリカと舞台を変えて描かれるストーリーも壮大そのもの。監督は「ソウル・キッチン」のファティ・アキンがメガホンを取っています。

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『クリード チャンプを継ぐ男』:「ロッキー」を知らない人ほど観て欲しい、ボクシング映画の傑作!!

クリード

「クリード チャンプを継ぐ男」を観ました。

評価:★★★★★

シルヴェスタ・スタローン主演で1976年に公開された「ロッキー」。この年のアカデミー賞作品賞に輝いた、この作品は1982年公開の「ランボー」とともに、スタローンの代名詞ともなる映画シリーズとなっているのは周知の事実。「ロッキー5」まで公開された後、2006年に「ロッキー・ザ・ファイナル」という形でシリーズは一旦幕を閉じたはず、、でしたが、今回ロッキーシリーズの系譜として公開されたのが本作。「ロッキー」にそれほど愛着がなかった僕は当初は観る予定をしていませんでしたが、本年度(2016年)のアカデミー賞助演男優賞として、本作でスタローンがノミネートされ、受賞予想の大本命ということも聞き、公開最終週での飛び込み鑑賞となりました。これが実によかった。本作をスクリーンで見れたことに素直に感謝したい傑作でした。

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『残穢 住んではいけない部屋』:ミステリーとしては面白いが、ホラーとしての出来はイマイチ。。

残穢

「残穢 住んではいけない部屋」を観ました。

評価:★★☆

第26回山本周五郎賞を受賞した小野不由美のドキュメンタリー・タッチの同名ホラー小説を、「白ゆき姫殺人事件」の中村義洋監督が映画化した作品。中村監督は初期の頃はホラーを作っていたみたいですが、彼が映画ファンに認知されたヒット作「アヒルと鴨とコインロッカー」以降の長編作品では初で、僕も初めて中村監督のホラー作品を鑑賞させてもらいました。原作小説がドキュメンタリー・タッチということもあってか、ホラーとしての物語性を重視しているというよりは、ホラーであることの奇怪な事件を探索していくという、ミステリータッチな色合いが強い作品に仕上がっているという印象の作品になっています。
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『の・ようなもの のようなもの』:人間が生きていく中で必要なものを、優しい眼差しで描く良作!

の・ようなもの の ようなもの

「の・ようなもの のようなもの」を観ました。

評価:★★★

2011年に若くして急逝した森田芳光監督。彼の代表作でもある1981年に製作された「の・ようなもの」の35年後を、森田組で長年助監督として支えた杉山泰一監督が映画化した作品。「の・ようなもの」で登場した主人公の落語家・志ん魚が、演じた伊藤克信(この人も久々にスクリーンで見た気がしますが、、)がそのまま落語を辞めた同役として出演しているほか、師匠となった志ん米などの他のキャラクターも35年前のままのキャストで出演しています。故・森田監督に捧げる鎮魂歌的な作品となっているとともに、落語映画らしい人情溢れるお話になっているのも、なんだか見ていてホンワカした気分になってくるいい味わいの作品となっています。

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