『ハッピーエンド』:豪華な邸宅に住む一家の文字通りな内部崩壊劇。ハネケならもっと突っ込んだ描写が観たかったというのが本音な作品。。

ハッピーエンド

「ハッピーエンド」を観ました。

評価:★★

瀟洒な邸宅で三世代同居しながらも、心はバラバラなブルジョワジーのロラン家。長年建築業を営んできた家長のジョルジュは高齢のため、引退。娘のアンヌが取引先銀行の敏腕弁護士を恋人に、ビジネスでも辣腕を奮っていた。しかし、専務であるアンヌの息子ピエールはビジネスに徹しきれないナイーヴな青年だった。また、アンヌの弟トマは家業を継がずに医師として働き、再婚した若い妻との間には息子のポールが誕生していた。そんな中、トマは離婚のため離れて暮らしていた娘エヴを、一緒に暮らそうと呼び寄せるのだった。豪華な邸宅に住みながらも、夕食時はSNSやメールで個々の鬱憤を晴らすロラン家はゆっくりと崩壊していくのだが。。ミヒャエル・ハネケの下、欧州の実力派俳優競演で綴る愛と死のドラマ。

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『羊の木』:地方の寂れた田舎町に移住してきた6人の元殺人者。作品の狙いと空気感は悪くないが、物語の進行といまいち噛み合っていない。。

羊の木

「羊の木」を観ました。

評価:★★★

さびれた田舎町の魚深市。市役所職員として働く月末一は、この町に新たに移住してくる6名の男女を受け入れるよう命じられる。しかし、受け入れた6人の男女は言動に落ち着きがなく、尋常でない様子。しかも、彼らには必ず不審な同行者が付き添っていた。その異様な様子に違和感を感じた月末は上司を問い詰めたところ、実は新仮釈放制度により自治体が身元引受人となった元殺人犯であることを知る。過疎化が進んでいる町としては、この国家プロジェクトを受け入れなければいけない状況だったが、平穏だった町の日常がゆっくりと狂い始めてくる。。ギャグ漫画の巨匠2人による同名漫画を基にした、「紙の月」の吉田大八監督の人間ドラマ。2014年文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した原作を大きくアレンジした作品。

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『YARN 人生を彩る糸』:ニット編みから様々なアートを生み出す人々を追ったドキュメンタリー。ニットの持つ暖かさがアートをより身近なものにしている。

YARN 人生を彩る糸

「YARN 人生を彩る糸」を観ました。

評価:★★★

糸を編むことを通じて表現する4組のアーティストの活動を追ったクラフト・アート・ドキュメンタリー。全身ニット集団と街を闊歩、糸を使ったパフォーマンスなど、個性的なアーティストたちが、その活動から“YARN”=糸に人生そのものを見出してゆく。メガホンを取ったのは、アニメーターとして活躍し、これが長編初監督となるアイスランド出身のウナ・ローレンツェン。

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『blank13』:長い間行方をくらましていた父親の葬式に集う珍妙な人々。葬式劇の狙いは分かるが、作品としては決まっていない。。

blank13

「blank13」を観ました。

評価:★★☆

コウジの父親は13年前に突然蒸発し、長い間行方不明の状態が続いていた。やっと判明した父の消息だったが、その体はガンに侵されていた。母と兄は多額の借金を残したまま行方をくらました父親の存在を許せなかったが、コウジは小さい頃にキャッチボールをしてくれた優しい父親の姿を忘れられないでいた。しかし、そんな父も再会した3ヶ月後に他界してしまう。そして葬儀当日、少ない参列者たちの口から、コウジの知らない父の姿が明かされるのだが。。俳優の斎藤工が、“齊藤工”名義で手掛けた長編初監督作品。

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『麦秋 4K上映』:現代社会の姿も少し暗示させる小津監督の代表作。少し単調なキライもあるが、撮影感覚は独特で面白い。

麦秋

「麦秋 4k上映」を観ました。

評価:★★★

間宮周吉は北鎌倉に住む植物学者。息子の康一は医者で東京の某病院に通勤、娘・紀子は丸ノ内の貿易会社の専務・佐竹宗太郎の秘書として働いている。佐竹の行きつけの築地の料亭「田むら」の娘・アヤは紀子と学校時代からの親友で、二人とも未婚であるが、同じく級友の安田高子と高梨マリはすでに結婚していた。なので、4人が顔を合せると、未婚組と既婚組とに対立する。折から間宮家へは周吉の長兄・茂吉が大和の本家より上京して来たが、紀子の結婚談が出てくる。同時に、佐竹も自分の先輩の真鍋という男との縁談をすすめるのだった。。世界で最も古く権威のある英国映画協会(BFI)が発行しているSight&Sound誌の発表した「映画監督が選ぶベスト映画」の1位に選ばれた小津安二郎監督が描く、1951年製作の家族の肖像劇。

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