『山河ノスタルジア』:時とともに移りゆく時代と世界に、人々はただただ翻弄されるだけ、、

山河ノスタルジア

「山河ノスタルジア」を観ました。

評価:★★★★

過去・現在・未来の三つの時代を舞台に、変貌する世界と、それでも変わることのない母と子の愛情を綴った壮大な叙事詩。監督は「世界」、「長江哀歌」のジャ・ジャンクー。僕は2006年のジャンクー監督の「長江哀歌」が凄く好きなんですが、ジャンクー監督の持ち味は大きな時代の流れの中で、必死に時代に抗おうとしたり、適応しようとする人々と、変わっていく周りの世界の対比が見事で、その中でも大きな世界観の中で生きる人を浮かび上がらせるのが絶妙なんですよね。前作の「罪の手ざわり」はバイオレンスな描写もあり、個人的には好きなお話ではなかったのですが、それでもジャンクー監督の持ち味は活きた作品でした。本作は、山西省とオーストラリアという2つの世界を舞台に、変わっていく時代と変わらないものを描いた、ジャンクー監督の十八番(おはこ)ともいえるジャンルの作品ともなっています。

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『64 前編』:刑事ドラマといいながら、官僚劇、、というより、もっと古典的な国盗り合戦のような組織バトル!

64 前編

「64 前編」を観ました。

評価:★★★☆

横山秀夫のベストセラーで、TVドラマとしても映像化された同名作を、「ヘヴンズストーリー」の瀬々敬久監督が2部作として映画化した作品。「ちはやふる」と同じく、前編の感想文を書いている現段階(2016年6月)では後編も観てしまっているのですが、あくまで前編の感想をまずは書きたいと思います。主演は、最近では中堅からベテラン俳優の域に達してきた佐藤浩市。

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『母よ、』:物語はモヤッとした印象だが、役者の好演がキャラクターを引き立てている!

母よ、

「母よ、」を観ました。

評価:★★

「息子の部屋」、「ローマ法王の休日」のナンニ・モレッティ監督による自叙伝的作品。恋人と別れ、娘との関係も上手くいかず、さらに入院中の母の世話を抱えている女性映画監督マルゲリータ。アメリカから到着した主演俳優バリーとも、新作の撮影で確執が続く中、病院から母の余命宣告を受けてしまう。。タイトルを観ると、”母”が大きく中心にくる作品かと思いましたが、”母”だけではなく、様々な人のエピソードが絡み合ってくるヒューマン・ストーリーとなっています。

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『レヴェナント 蘇えりし者』:迫る映像力に圧巻される作品! 映画館で観るべき映画とはこういうことをいうのかも。

レヴェナント 蘇りし者

「レヴェナント 蘇えりし者」を観ました。

評価:★★★★

レオナルド・ディカプリオと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」などの作品で知られるアカデミー賞監督、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が初タッグを組んだ作品。「タイタニック」以降、何度もアカデミー主演男優にノミネートされながら、未冠だったディカプリオが、近年アカデミー監督賞(ちなみに本作も)を連続受賞しているイニャリトゥと組んだことで初受賞となった作品でもあります。いわゆる実話に基づいた原作がある作品ですが、映画ならではの映像の力感が溢れる作品になっています。

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『ちはやふる 下の句』:続編となる「下の句」は、メインキャラクター3人の物語!

ちはやふる 下の句

「ちはやふる 下の句」を観ました。

評価:★★★☆

高校の競技かるた部を舞台にした末次由紀の同名コミックの映画化作品、2部作の完結編となります。前編となる「ちはやふる 上の句」では、高校での競技かるた部結成がお話の主軸となっていて、部結成に加わったメンバーが主にフォーカスされていましたが、続編となる本作では、メインキャラクターになる幼馴染の3人、千早、太一、新のかるたにかける友情というのがメインになってきます。それに合わせ、かるた部のほうも念願であった全国大会へと舞台は移っていきます。

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