『はじめてのおもてなし』:バラバラに空中分解しそうな家族の下にやってきた1人の難民青年。話はとりあえずハッピーエンドで終わるが、目まぐるしいほど早い展開にややついていけなかった。。

はじめてのおもてなし

「はじめてのおもてなし」を観ました。

評価:★★

ミュンヘンに暮らすハートマン家。夫リヒャルトは大学病院の教授だが、後輩の育成は一切せず、Facebookで常に自分の若さをアピールし続ける自己中心男。息子のフィリップはワーカーホリックで、常に自分が働いていないと不安になり、妻は愛想を尽かせて出ていってしまった。フィリップの一人息子(リヒャルトの孫)バスティは12歳にして一流ラッパーを目指している。一方の娘のアスティは31歳にもなって、未だに自分探しの旅の途中で実家に居候。外見から分からないほど一家がバラバラになっている中、母アンゲリカはある日、突然難民の受け入れを宣言する。早速、ナイジェリアから来た青年ディアロに自宅を提供するが……。難民の青年の受け入れをきっかけに、バラバラだった家族が人生を見つめ直してゆく様を描いたドイツ製コメディ。監督のサイモン・バーホーベンは、本作で母親アンゲリカを演じるセンタ・バーガーの息子。

ヨーロッパでは近年内紛が起こっているシリアなどの中東や、経済的に厳しい東欧やアフリカなどの難民が急激に増えている。先日観た「希望のかなた」や、近未来劇であった「ジュピターズ・ムーン」でも、急速に数が増える難民が社会問題化していることを如実に反映しているなと思います。日本でも難民ではないですが、昨今のLCCの台頭で、特にチケット価格が軒並み低い値段となっている関西国際空港を拠点にして、中国を始め、アジア各国から観光客が数多く訪れています。京都という場所に住んでいるからか、前に住んでいたとき(2011年頃)と比較しても、地下鉄の車内やバス停などは、日本人のほうが少ないのではないかと思わされるときも正直あります。別にアジア系の人に限らないのですが、島国日本と外国の文化が違うことは歴然で、公共の場やお店などのマナー1つとっても何だかなーと感じてしまう場面の見聞きしたりしてしまいます。ただ、それは人としてどうのこうのではなく、文化が違うのだからしょうがないこと。特に今後は、介護や製造現場などを中心に、人手が足らないところを彼らにお願いするところも出てくるのですから、海外に行かなくとも、日本人の意識が国際化しないといけないなと観ながら思いました。

本作はそうした移民問題を取り上げながらも、1つのバラバラになりそうな家族が、移民青年ディアロによって救われていくという構成となっています。お話としてはある程度首尾一貫していて、感動ポイントもあるのですが、どうもノレなかったのは映画のリズム感が独特だからかもしれません。このハートマン家、とにかく大小いろんな問題だらけなのです(笑)。それをディアロの存在によって、全体として1つ1つ解決していく形なのならいいのですが、問題を提示したまま、そのままのエピソードもあるし、あるいは全然関係なく自己解決していくものもあったりと、とにかく目まぐるしいほどにいろんな問題は起きては、同じフレームの中で解決していく。。いろんな自己解決エピソードがただ羅列しているだけで、物語全体を通してのカタルシスみたいなものが不足しているのです。一応、最後は家族が結集して大団円とはなるのですが、僕の目から見ると無理やりとメデタシメデタシにしてしまっているように思えて、ちと不満でした。

でも、暴走している家族に対して、ディアロのゆったりとした人柄はリズム感を変えるキャラクターとしてはいい配置だったかなと思います。近作ではクオリティが高いドイツ映画だけに、本作はやや期待はずれだったかなと感じました。

次回レビュー予定は、「グレイテスト・ショーマン」です。

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