『ジャングル・ブック』:映像は迫力満点なシーンが続くのだが、動物と人間が同じ言葉を喋るということに違和感が。。

ジャングル・ブック

「ジャングル・ブック」を観ました。

評価:★★

IMAXの3D字幕版にて。

ジャングルに一人取り残された人間の赤ん坊・モーグリは、黒ヒョウのバギーラに命を救われ、オオカミのラクシャのもとで、ジャングルに住む動物たちによって育てられる。しかし、モーグリの存在を疎んじているトラのシア・カーンが現れ、オオカミたちに攻撃を加える。彼は若き頃に受けた人間への憎しみを、復讐心としてモーグリにぶつけるのだった。危険を感じたバギーラはモーグリを人間の里へ返そうと試みるのだが。。ディズニーアニメにもなったラドヤード・キップリングの冒険小説を実写化。動物たちや大自然をCG技術を駆使し描いています。監督は「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴロー。

「ペット」「ルドルフとイッパイアッテナ」が同じペットもので被っている2016年夏のラインナップですが、ジャングルものという括りでは、本作と「ターザン REBORN」が被っています(笑)。ただ、興行的に見ると、ディズニー作品である本作のほうが優位のようですが、僕は作品としては、、、というところでした。3Dとしての迫力は満点なのですが、大自然のジャングルを舞台にしている割に、全ての動物たちが同じ言語でコミュニケーションを取れるということが、ドラマとして何か小さく見えてしまうんですよね。。これは同じディズニー作品でも、「ライオンキング」などの作品ではそう感じないのは、動物と人間との世界に明確な線引きがあるからなのでしょう。主人公モーグリが人間であるということが、人間と動物との距離感が取れなくなっているように思うのです。

そもそも人間と動物たちが言語によるコミュニケーションを取れるということに、観ている最初から違和感しか感じなかったです。無論、モーグリ自身はジャングルで動物たちに育てられたのだから、動物たちの世界に立脚しているキャラクターと感じることができれば、「ライオンキング」などの作品と同様に違和感は感じなかったでしょう。ただ、どうも本作のモーグリは人間の目から見ても可愛い子ども。彼がいくらオオカミたちの子たちと同じように育とうと、ジャングルを縦横無尽に行き交おうと、野性味溢れるというところまでは程遠い。これがディズニー作品でなかったなら、そうしたリアリティにもう少しこだわったのかもしれません。見かけのVFXどうこう以前に、こうしたリアリティのなさが、動物たちと人間であるモーグリが言葉でコミュニケーションが取れるのなら、なんでもっと平和に暮らせる手段を考えないのか、、と、どうでもいい、動物たちの世界平和のような政治めいたことを考えてしまうのです。こういう考えを起こさせること自体、やはり、この物語がファンタジーとして昇華できれていないのです。

見た目を野性味溢れる形にしないのなら、それこそ「ターザン REBORN」でのしゃべらない野性味溢れる動物たちのように、身体的動作やアイコンタクト、もしくは人では全く理解できない動物的な境地でのコミュンケーションを交わすなど、リアリティある形でのドラマにしたほうが迫力は十分だったでしょう。ただ、そうすると、キップリングの意図していない世界観の「ジャングル・ブック」になってしまったでしょうけどね(笑)。映画自身は予告編を見れば分かるように、動物たちをフルCGで描いて、アクションでも迫力あるシーンを十二分すぎるくらい描いていますが、ファンタジーのつくり方がだいぶ甘いな、、と感じてしまう作品でした。

ですが、エンドロールの文字通り、”ジャングル・ブック”な映像は素敵でした。これを見れただけでも、僕は満足です(笑)。

次回レビュー予定は、「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」です。

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