『永い言い訳』:人の現実と虚構を行来する生き方を素直に描く、西川監督の総決算作品!

永い言い訳

「永い言い訳」を観ました。

評価:★★★★★

“津村啓”というペンネームでテレビのバラエティなどでも活躍する人気小説家の衣笠幸夫。ある日、いつものような日常を過ごしている最中、妻がバス事故で突然他界してしまう。妻が亡くなったはずなのに、悲しみを表せない幸夫。そんな中、同じ事故の犠牲者となった妻の親友の夫と2人の遺児たちと交流を深める幸夫は、亡き妻とも再び向き合い始めてゆく。「夢売るふたり」の西川美和が直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化した作品。

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『七人の侍(4K上映)』:生きることを戦国エンタテイメントとして昇華した黒澤監督の名作!これは是非スクリーンで見て欲しい作品!!

七人の侍

「七人の侍(4K上映)」を観ました。

評価:★★★★★

麦の刈入れが終る頃、野武士たちがやってくる。昨年同じように襲われた村人は恐怖におののいていた。闘っても勝目はないし、負ければ村中皆殺し。今年も同じように収穫物や人質を差し出すしか仕方ないかと思っていたところ、村長でもある長老から、同じような野武士の恐怖に襲われた村が侍を雇うことで、危機を回避したという話を始める。村を守るには侍を傭うことだ、長老・儀作の決断によって茂助、利吉らは侍探しに町へと出発した。智勇を備えた歴戦の古豪・勘兵衛の協力で、五郎兵衛、久蔵、平八、七郎次、勝四郎が選ばれた。この六人の武士たちに加え、百姓の孤児として荒くれ者として育った菊千代が加わった、七人の侍たちは村人たちの訓練からはじめ、来る野武士たちの襲来に備えるのだが。。ご存知、黒澤明監督の1954年の名作が、4K上映でスクリーンに甦りました。

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『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』:アメリカを代表する文芸作品の裏に秘められた、熱き2人の男の夢への物語!

ベストセラー

「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」を観ました。

評価:★★☆

「老人と海」を著した文豪ヘミングウェイや、「グレート・ギャツビー」のスコット・F・フィッツジェラルドを発掘した編集者マックス・パーキンズ。彼の元に、無名の作家トマス・ウルフの原稿が持ち込まれる。絶え間のない感情の波をそのままに原稿に書き連ねたウルフの原稿量は他の比較にならぬほど膨大で、様々な編集者が賽を投げた状態だったが、類まれない彼の才能を見抜いたパーキンズは父親のようにウルフを支える。ウルフにときには寄り添い、ときには厳しく原稿にメスを入れながら、2人は世に残る最高の最高の作品を仕上げていく。米文学史に残るベストセラー小説誕生の裏に隠された実話に基づくドラマ。トニー賞受賞のイギリスの演出家マイケル・グランデージ初監督作品。

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『何者』:就活とはとことん嫌な自分を見つめる時!? 描きたいことは分かるが、これは面白いか??

何者

「何者」を観ました。

評価:★★

同じ大学に通う5人の就活生たち。かつて演劇サークルに所属し、人を分析することが得意な拓人。拓人とルームシェアをし、天真爛漫ながらも目標に突き進む光太郎。光太郎の元彼女で、拓人が密かに想いを寄せる実直な瑞月。瑞月の友人で、人一倍”意識高い系”の理香。理香の恋人で、自由奔放さを謳いながらも、どこかに焦りを感じている隆良。それぞれが様々な悩みを抱えながら採用試験に臨むが、次第に秘められた本音や自意識が表面化し、相互の関係性に変化が生じてゆく。。「桐島、部活やめるってよ」の原作者でもある朝井リョウの直木賞受賞作を、「愛の渦」の三浦大輔監督が映画化した作品。

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『歌声にのった少年』:子どもの快活な演技が素晴らしい作品。だが、それを受け継ぐ後半部のまとまりのなさが鼻につく。。

歌声にのった少年

「歌声にのった少年」を観ました。

評価:★★

長きにわたり紛争が続き、今でも混迷を続けるパレスチナ・ガザ地区。この地で生まれ、スター歌手になって世界を変えたいと願う少年ムハンマドは勝ち気な姉ヌールに引っ張れれ、友人たちとともにバンドを結成する。お手製の楽器から、苦労して調達した楽器に変え、ようやくこれからといったとき、ヌールに重い腎臓の病が発覚する。ヌールは弟ムハンマドにいつか歌でスターになり、この地を出て行くことを約束させ、幼い命を落としてしまう。姉の死から数年後、青年になったムハンマドは亡くなった姉との約束を果たすため、ガザの壁を越えオーディション番組に出場しようとするのだが。。「パラダイス・ナウ」のハニ・アブ・アサド監督が、実在のパレスチナ人歌手を取り上げた人間ドラマ。

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