『コウノトリ大作戦!』:予告編で感じる楽しさは保証できる良作だが、この普通さが映画としては欠点となっているとも思う。。

コウノトリ大作戦!

「コウノトリ大作戦!」を観ました。

評価:★★

日本語吹替え版にて。

ひとりっ子で遊び相手のいない少年ネイト。両親は自宅で仕事をしているが、24時間365日働き通しでネイトの相手などしてくれない。そんな彼の望みは、まだ見ぬ弟と一緒に忍者ごっこすること。ある日、自宅の物置で、コウノトリが赤ちゃんを届けるという古びた“赤ちゃん申込書”を見つける。大喜びで申し込むが、その申込書が届いた先は、今では赤ちゃん配達を止めてしまったコウノトリ宅配便社だった。。「ネイバーズ(2014)」のニコラス・ストーラーと「マジシャン・プレスト」のダグ・スウィートランドが共同で監督した作品。

先日、和製3DCGの「GANTZ:O」の感想文を上げたばかりだけど、2Dも含め、アニメーションがやはり活況な日本と違い、アメリカでは3DCGアニメーションが主流になっているように思います。それもピクサー&ディズニー(近年ではディズニー単独でもヒット作が多いですが)と、「ミニオンズ」のイルミネーションという大きな2大巨頭があり、その他のスタジオも小さく作品を作っているのですが、残念ながら、その他はその他大勢になってしまって印象に残っていかない。スピルバーグやロバート・ゼメキスのようなビックネームが手がける作品はジャンルが違うタイプに含まれますが、その他大勢は、キャラクター商品などのマーチャンダイジングも含め、キャラクター自体を市場に展開することができないので作品の続編やスピンオフ展開もできないのと苦しい展開になっているのかなと思います。本作も、いい作品ではあるのでは、来年くらいになったら忘れられたその他大勢になってしまいそうです。

本作のテーマは、ずばり”家族”ということでしょう。それもメインで進むのは少年ネイトの一家の方ではなく、コウノトリ宅配便社でゴタゴタを引き起こす、コウノトリのジュニアと、かつて赤ちゃん配達を手がけていたときに届けられなく、大人に成長したチューリップのコンビ。彼らが偶然にもネイトの手紙を”赤ちゃん製造機”にかけてしまい、生まれた赤ちゃんをネイト一家に届けるまでの物語が作品の中心になってくるのです。チューリップはコウノトリ(鳥たち)の中で、大人になってしまった孤児のようで、コウノトリのジュニアとは、人間と鳥という関係ながらも、情の繋がりがでてきて、いつしか仮想家族のようになっていく。血の繋がりだけではなく、種まで違うというところに家族が成立するのか、、という真面目な家族の成り立ちを議論するところが、多民族で、かつ養子等の関係でつながることも多い現代アメリカの家族の形をそのまま鋳型にしているように思います。

というテーマ分析をするほど、お話としては高尚なものでも正直ないのです。”赤ちゃん”を中心としたハラハラ配達劇と、”赤ちゃん配達”をなんとしても阻止しようという悪者とのお決まりの追いかけっこがあり、その中でいろんな物語が伏線としてついてくるという典型的な展開映画。ラストの宅配便社での大団円は少し見どころとしてはあるものの、大きな欠点もない、いかにも普通な作品になっています。

次回レビュー予定は、「手紙は憶えている」です。

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