『ちはやふる 下の句』:続編となる「下の句」は、メインキャラクター3人の物語!

ちはやふる 下の句

「ちはやふる 下の句」を観ました。

評価:★★★☆

高校の競技かるた部を舞台にした末次由紀の同名コミックの映画化作品、2部作の完結編となります。前編となる「ちはやふる 上の句」では、高校での競技かるた部結成がお話の主軸となっていて、部結成に加わったメンバーが主にフォーカスされていましたが、続編となる本作では、メインキャラクターになる幼馴染の3人、千早、太一、新のかるたにかける友情というのがメインになってきます。それに合わせ、かるた部のほうも念願であった全国大会へと舞台は移っていきます。

本作の始まりは、「上の句」で千早と太一が、離ればなれになってしまった幼馴染の新に再び全国大会で会えることを夢見ていたのに対し、新の衝撃の告白、“俺、かるたはもうやらん……”で終わっていた部分から始まります。新自身は幼き頃から、可愛がられた祖父の背中を追うようにかるたに打ち込んでいたのに対し、祖父の死によって、かるたを続けていくことの意味を見失う。もちろん、千早と太一という存在はあったものの、それ以上に祖父の死の大きさに心を揺さぶられるのです。そのことによって、千早と太一と距離を置こうとする新。新の塞いだ心をこじ開けれない千早と太一は、それぞれできる方法で新と、そして競技かるたと向かい合っていくのです。

何事もそうだと思いますが、続けてきたことの意味を見失うことというのはあると思います。”○○がなくなったのに、何のためにこれをやっているのだろうか…”、、そういう場面に遭遇したときに、再びその人を奮い立たせるのは、案外、続けてきた目的とは別の理由なことが多いのではないでしょうか。本作で、新はかるたを続ける意味を見失いますが、新しい意味づけを千早や太一であったり、ライバル若宮詩暢の存在であったり、あるいは全く接点がなかった千早が結成した”瑞沢高校競技かるた部”に見出していくのです。同じ競技かるたという勝負の場であっても、そこに取り組む人の想いは千差万別だったりする。それでも、一生懸命に取り組む人たちの姿に、自分だけの想いに囚われていた新の心は徐々に開いていくのです。

全国大会の模様を観るのは楽しいですし、舞台となる近江神宮や新の実家となる福井なども、結構行っている場所であるので、個人的に好きな映像描写ばかりでした。ただ、「上の句」に比べ、個性的な”かるた部”の面々が前面にこないのが少々残念なところ。まぁ、「下の句」はメインキャラクターである3人の物語だと思えば、いいかもしれないですけどね。

次回レビュー予定は、「レヴェナント 蘇りし者」です。

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