『劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』:吹奏楽、京都、、と好きになる要素しかない映画!

響け、ユーフォニアム

「劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」を観ました。

評価:★★★☆

女流作家・武田綾乃の小説を原作にしたテレビアニメ『響け!ユーフォニアム』全13話を再編集した劇場版。製作は「けいおん!」などのヒット作も手かげた「京アニ」の愛称でも知られる京都アニメーション。「けいおん!」は京都市左京区の北白川辺りを舞台にした作品でしたが、本作もタイトル通りに観光地としても有名な京都府宇治市を舞台にしています。京都好きで、吹奏楽も高校から大学にかけて、都合6年間やってきた僕にとっては、好きになってしまう要素しかない作品になっています。

舞台となるのはタイトル通り、北宇治高校吹奏楽部。中学の頃も吹奏楽をやっていた黄前久美子は、強豪高校がひしめく京都府の吹奏楽部にあって、あえて無名の北宇治高校に進む。そこでの吹奏楽の演奏は御世辞にも上手いとはいえない有り様。同じクラスの同級生に誘われるまま、吹奏楽部に入部した黄前だが、そこには同じ中学でコンクールの際に悔し涙を見せていた高坂麗奈がいたのだった。。

本作品を通してみていて、分かるなーという思いに何度も襲われました。特に感じたのは、「ちはやふる 上の句」の感想文でも書いたと思うのですが、楽器が吹けるようになりたいとか、単純に楽しみたいとか、あるいは本気でコンクールで金賞を取りたいとか、違うそれぞれの想いを持つメンバーが同じ部活の中にいるということ。主人公の黄前も楽器演奏は嫌いではないものの、本気でコンクールで予選突破したいと思うほどではなかった。どちらかというと悔し涙を見せていた高坂の気持ちに寄り添えず、自分が意識しない中で、どちらかというと弱小校を選択したのです。でも、その弱小校になぜか高坂がいたということに驚きを感じる。部活動の中で、黄前が高坂の想いに向き合った時、それは吹奏楽部という1つのチームの中で大きな力となっていくのです。

部活でも、会社でもそうなんですが、違う想いを抱いている人が、その組織の中で同じ活動なり、仕事なりをしていく中で、その人の物事の向き合い方というのが垣間見れる。僕はそういう瞬間が好きだし、ドラマになると思っています。よく自己啓発やビジネススキル、経営に関する本で、人間性を問うてるものが多いのは自然なことなのです。組織自体が1つの大きな目標に向かっていくときに、その活動の中で個人の想いや考えをどうしても切り捨てなければやっていけないこともある。本作の場合に、その象徴として現れるのがコンクールメンバーの選抜試験です。予告編にもあるように、「どうしてもメンバーとして出たい」という想いがそれぞれのメンバーの青春劇が彩られ、アニメとはいいつつも熱いドラマになっていると思います。

メンバーに選ばれなかった部員たちの裏方の様子、コンクール当日の雰囲気、コンクールの舞台となるのも、よくクラシック鑑賞にいっていた北区にある京都市コンサートホールと、まさに僕の思い出のツボをいろいろ刺激してくれる秀作。客観的な評価ができなくて申し訳ないですが、これは素直にいい作品だと思います。

次回レビュー予定は、「さざなみ」です。

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