『ビッグ・シック 大いなる目ざめ』:アメリカにいながら、パキスタンの風習に苦しむ若者の恋愛コメディ。すべて上手くいかない理由の帰結が少々安易なような気がする。。

ビッグ・シック 大いなる目ざめ

「ビッグ・シック 大いなる目ざめ」を観ました。

評価:★☆

パキスタンで生まれながら一家で移住し、今はシカゴに暮らすクメイルは、駆け出しのコメディアンとして街中の舞台に立っていた。そして、アメリカ人大学院生エミリーと交際していた。だが、同郷の花嫁しか認めない厳格な母親に従い、母親が進める相手と仕方なく見合いをしていた。しかし、そのことがエミリーにバレてしまい、二人は破局してしまった。その数日後、エミリーが原因不明の病でこん睡状態に陥ってしまい、病院に駆け付けたクメイルはエミリーの両親と出会うのだが。。パキスタン出身のコメディアン、クメイル・ナンジアニが、自ら体験した異文化結婚をめぐる騒動を映画化した作品。クメイルとエミリー本人が共同で書いた脚本を、クメイルを主役に抜擢し、「はじまりのうた」のジャド・アパトーが製作。「ドリスの恋愛妄想適齢期」のマイケル・ショウォルターがメガホンをとっています。

今年の第90回米アカデミー賞でもプレゼンターとして登壇し、有色人種の悲哀をコメディタッチで語っていたクメイル・ナンジアニ。彼の体験をもとに、異文化結婚をめぐるお話を描いた本作なんですが、ちょっとノレなかったというのが正直なところ。異文化結婚のドタバタを描いた作品としては、近作でもあったフランス映画「最高の花婿」のほうが様々な文化の衝突を描いていたし、結婚前後でのバタバタ劇というところではNHKの朝ドラ「マッサン」とかのほうが面白く、描かれ方も深いかなと感じます。都会に住む、ちょっとオシャレな都会人が付き合う相手が異文化であることをダシにして、グチグチとしているだけの作品に見えて仕方ありませんでした。

グローバル化が進展してくる世の中にあって、これから日本でも国際結婚をするケースが多々あるのではないかと思います。ひょっとしたら、あなたの親戚には海外の方がいて、冠婚葬祭では渡航しているという人も少なからずいるのかもしれません。文化が違うので、しきたりはもちろんのこと、考え方でさえ異なるのかもしれないですが、パートナーに選ぶのならそれも含めて好きということだし、家族であるのなら、それも含めて支え合わないといけません。本作を見ていて、クメイルは人生が上手くいかない理由を全て文化のせいにしているように見えてならなかった。人と付き合っていくということの当たり前のルールみたいなものを、エミリーの両親によって気づかされるところがあっただけ少し救われましたけどね。。

次回レビュー予定は、「麦秋」です。

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