『ザ・シークレットマン』:アメリカを震撼させたウォーターゲート事件の内幕を描くポリティカル・サスペンス。地味な作品だけど、見応えは十分!

ザ・シークレットマン

「ザ・シークレットマン」を観ました。

評価:★★★

1972年4月11日。アメリカ大統領選挙203日前。FBI副長官のマーク・フェルトは、ディーン大統領顧問から、40年間君臨し続けるFBI長官のフーバーの退任について相談を受ける。だが、フーバーに忠誠を誓うフェルトは、大統領周辺からFBIに集まるあらゆるメモの存在をほのめかし、逆に大統領側を牽制する動きを見せる。やがてフーバー長官が死亡すると、司法次官のパトリック・グレイがFBIの長官代理に指名される。フーバーの後は自分がFBI長官になると考えていたフェルトは意気消沈するが、そんな大統領選挙133日前に、ある事件が発生する。ウォーターゲート・ホテルの民主党本部に侵入した男たちが、逮捕されたのだ。捜査を開始したフェルトだが、グレイから48時間以内に事件を解決するように迫られる。大統領側の強い圧力を感じたフェルトは、マスコミを使用して何とか捜査継続するように画策していくのだが。。ウォーターゲート事件の内部告発者“ディープ・スロート”こと元FBI副長官マーク・フェルトを演じたサスペンス。監督は「コンカッション」のピーター・ランデズマン。

史実に基づいたウォーターゲート事件の内幕に迫ったポリティカル・サスペンス。主演を張るのは、こうした小品にも積極的に熱演するオジサマ、リーアム・ニーソン。「96時間」「フライトゲーム」など、サスペンス・アクションな作品の出演が多いので、本作もアクションモノかと思われて鑑賞した方もいるかもしれないですが、本作は緻密なドラマ劇になっています。古くはダスティン・ホフマンの「大統領の陰謀」は本作のマスコミ側からたった視点の作品ですし、近作で、今年のアカデミー賞(2018年)レースにも参加していた「ペンタゴン・ペーパーズ」は、本作にも登場するポスト紙での内幕劇になり、ウォーターゲート事件直前に起こった機密文書の流出事件を描いている作品なので、このウォーターゲート事件周りを描いた作品はセットで鑑賞されると、いろいろ面白いかなと思います。

日本人的な目線に立つと、ウォーターゲート事件はアメリカで起こった出来事であり、それも僕が生まれる前なので、正直事件そのものはこうした映画素材を通じての情報しか知りません。なので、こうした政治劇(ポリティカル・アクション)は面白いは面白いのですが、興味的にはこんな出来事があったんだーくらいで、事件の詳細を知っていて、あのことはこうしたことから起きたんだ、、とかいうような、点と点をつなぐことを感じる面白さというのは得られなかったかなと感じます。それにニーソンもアクションをしていないと、演技や役作りということもあるかもしれないですが、妙に見た目の老練さだけが目立ってしまい、他の出てくる人たちも含めて、ちょっとオジサマしか出てこない映画かなということも感じてしまいます。こうした全体的な地味さは残念ですが、「コンカッション」でもポリティカル分野での上手さを出していた監督さんだけに、見応えはある作品になっていると思います。

次回レビュー予定は、「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」です。

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