『ドラえもん のび太の宝島』:のび太たちが南の宝島で繰り広げる冒険活劇。ドラえもん映画に重要な要素をしっかり抑え、新ドラえもん映画では1番面白かった!

ドラえもん のび太の宝島

「ドラえもん のび太の宝島」を観ました。

評価:★★★☆

のび太は宝島のお話に感化され、ジャイアンたちに「宝島を見つける」と宣言してしまう。早速、ドラえもんに助けを求めるのび太だが、ひみつ道具“宝探し地図”を使うと、なんと一発で地図は太平洋上に突然現れた新しい島を指し示したのだった。のび太たちはノビタオーラ号と名付けられた船で宝島に向かうが、上陸寸前でシルバーを船長とする海賊たちに襲撃されてしまう。必死に応戦を試みる彼らだが、戦いのドタバタの中でしずかちゃんが海賊たちにさらわれてしまう。海賊に逃げられた後、のび太たちは海を漂う謎の少年フロックとクイズを出すオウム型ロボットと出会う。フロックは海賊船でメカニックとして働いていて、何とか自力で逃げ出してきたのだ。のび太たちはフロックから海賊船に隠された驚くべき秘密を教わるのだが。。「映画ドラえもん」シリーズ38作目となる劇場版。監督は、TVアニメ『ドラえもん』の演出を手掛け、初の映画シリーズ監督を務める今井一暁。脚本は、「君の名は。」プロデューサーの川村元気。

昨年公開になった「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」に続いて、今年のドラえもんも劇場で観させていただく機会がありました。いわゆる新ドラえもんになってから、劇場作は2014年公開の「新・のび太の大魔境」も含めて、劇場で拝見したのは今作で3作品目。本作が通算の中では1番面白かったです。余談ではありますが、今(2018年3月から)、本作の劇場公開を記念して、過去37作品一気放送をWOWOWでやっているのですが、僕の1番大好きで今でも傑作だと思う13作品目の「ドラえもん のび太と雲の王国」(1992年公開作)をつい最近観ながら、ドラえもん映画の僕なりの重要な要素を3つ挙げたいなと思います。それは1)冒頭から中盤までに5人揃っての冒険<アドベンチャー>があること、2)鑑賞する子ども(+大人)向けに重要なメッセージ性があること、3)私たちの身近なところに地続きで物語が広がっていること、だと思うのです。それにプラス感動の要素があれば尚の事いい。「雲の王国」にはそれがあるのですが、本作でその要素とはどういうことなのか分析したいと思います(笑)。

まず、1つの冒険<アドベンチャー>があること。これは本作では冒頭から、のび太のいつもの空想(笑)から始まる冒険があり、それをジャイアンたちに無茶振り宣言してしまうところから、嫌がおうもなしに冒険が始まっていきます。この語り口は、1作目の「のび太の恐竜」からもう伝統芸のようにある鉄板展開。本作では、それをしっかりと受け継いでくれています。2つ目の重要なメッセージ性についてはネタバレ部分なのでボカしますが、本作ではフロックの両親たちの目指す想いと、それを子どもとしてしっかりと受け継いでいるフロック兄妹の行動に現れています。理系離れが叫ばれる昨今ですが、AIやIoTなどの新技術が増えていく中、駄エンジニアの僕の目線から見ても、物事を分析的かつ多面的に見れる人材を作っていかなくてはいけない。意外に重要なことが、本作には語られているように思います。そして、3つ目の地続きの要素については、少し表現が難しいのですが、ドラえもん映画を見て、もう今日明日から僕たち私たちの言動が変わるような面をもたせてくれるような部分があったりするのです。本作では、前述したエンジニア的価値観かもしれないですし、冒頭登場したロバート・ルイス・スティーブンソンの小説「宝島」を読むことにも繋がるでしょう。僕も知らないですが、「グーニーズ」などの数々の冒険劇の下敷きといわれる名作。絵本やコミック版など、数々の翻訳版もあるので、親子で様々な冒険劇(ときには、実写の冒険映画等)を一緒に紐解くなどもいいかと思います。

「新・ドラえもん」になってから、大山のぶ代旧作世代から見ると、ギャグ漫画のようにコロコロと展開が早いのはどうかなとも思いますが、近作の「ボス・ベイビー」も同じようなリズム感の作品だったので、このペースの早い展開が今の子たち向けなのかなとも感じました。それでも、これだけワクワクさせてくれる冒険劇になっていたのは特筆モノです。ドラえもん映画公開のたびに、同じ劇場公開数だけ年を取っている身としては年齢を感じてしまいますが、藤子ファンとしてはこれからも機会があれば観ていきたいシリーズになっています。

次回レビュー予定は、「ザ・シークレットマン」です。

コメントを残す