『ミックス。』:寂れた卓球クラブ再建に3組のミックスが立ち上がる!スポ根とコメディの按分がよりよくミックス。されている!

ミックス。

「ミックス。」を観ました。

評価:★★★

恋と仕事に破れ、田舎に帰ってきた元天才卓球少女の多満子。幼き頃、卓球を熱血指導していた母親の死後、卓球場はもはや閑散としており、自分が青春をかけた活気ある練習風景はそこにはなかった。無職になった多満子は、同じ卓球場で育った元ヤンキーのセレブ妻とオタクの引きこもり高校生、ダイエット目的の中年夫婦、そして自分も家族に見放された元プロボクサーの萩原と男女混合ダブルスを組み、クラブの再建のために、全日本卓球選手権出場に挑むのだが。。「くちびるに歌を」の新垣結衣と「殿、利息でござる!」の瑛太がW主演を務めるロマンティックコメディー。脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「探偵はBARにいる」シリーズの古沢良太。監督は「エイプリルフールズ」の石川淳一。

日本で純粋なコメディ映画の土壌は年々縮小しているなと感じます。成功しているのは、舞台から来た「ラヂオの時間」の三谷幸喜監督や、若手の「ウォーター・ボーイズ」の矢口史靖監督くらいかなと思いますが、彼らのフィルモグラフィーを見ても、コメディど真ん中という路線ではありません。その中で着目しているのが、「エイプリルフールズ」でも清いコメディを作った本作の石川監督。もともとテレビ業界出身で、映画では本作が長編第2作となるのですが、ディレクターをしていたドラマをみても、「リーガルハイ」や「警視庁いきもの係」など、コメディを主体としたドラマ劇が多い。なかなかオリジナルなコメディが少ない日本映画の状況でもあるので、石川監督のような新しい人材がこれから頑張ってほしいなと思っています。

映画デビューだった前作と同じ陣容で望んでいる本作ですが、複数のエピソードでエイプリルフールの一日をまとめ上げていくという前作では、正直エピソードごとのまとまりにいびつさがあった分だけ、本作はお話がシンプルな分、結構スッキリと見通せると思います。それでも卓球ダブルスを組む、それぞれ3組6名のエピソードを、メインのキャラクターである多満子と萩原を中心にうまくまとめ上げています。驚いたのは、セレブ妻を演じた広末涼子の妙にハマったコメディアンヌっぷり(というかオバサン感)でしょうか。ちょうど映画をたくさん観始めた頃は、彼女は「鉄道員(ぽっぽや)」の娘役で結構鮮烈な少女の印象を残していただけに、やはり20年位経つと時代の流れを感じるとともに、彼女もいい女優としての味を出してきたのでは特筆すべきだなと思います。

見どころとなる卓球シーンも含め、カメオ出演している有名人たちも楽しんで演じているのが何とも楽しい。正直、「エイプリルフールズ」では演出に肩肘が貼りすぎていて、少しベタなコメディに閉口していた人も、爽やかに観れる本作が意外にハマるのかもしれません。

次回レビュー予定は、「ドリーム」です。

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