『リバーズ・エッジ』:文字通り傷つきながらも大人になっていく90年代若者の青春記!少々残酷な作品だが、だからこそ心に響く!

リバーズ・エッジ

「リバーズ・エッジ」を観ました。

評価:★★★★☆

自由奔放に生きる、今どきの女子高生ハルナは、彼氏の観音崎が必要にイジメている同級生・山田をいつも助けていた。山田は、そんな彼女に「僕の秘密の宝物、教えてあげる」と誘い、大事にしている夜の河原で腐りかけた死体の秘密をハルナと共有する。また同じく死体の秘密を共有している摂食障害のモデル・こずえは、山田を介して、ハルナとも奇妙な絆で結ばれるようになっていく。一方、父親の分からない子どもを身ごもってしまったハルナの友人・ルミと、同性愛者である山田のことを知らずに一方的に彼を好きになっているカンナは、それぞれに過剰な愛情を膨らませていくのだった。そしてある日、また別の死体が彼らによって生み出されてしまうことになってしまう。。若者たちの欲望と焦燥感を描いた岡崎京子の同名漫画を原作に、「ナラタージュ」の行定勲監督が実写映画化した作品。

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『花筐/HANAGATAMI』:戦争三部作の集大成を飾る大林宣彦監督作。強いメッセージ性は好き嫌いが分かるが、相変わらずの瑞々しさは観ていて嬉しい。

花筐

「花筐/HANAGATAMI」を観ました。

評価:★★★

1941年春、佐賀県唐津市。この地で叔母の家に身を寄せる17歳の青年・榊山俊彦は新学期、アポロ神のような逞しい美少年・鵜飼に目を奪われる。同じクラスには虚無僧のような吉良、お調子者の阿蘇ら、一癖も二癖もある学友を得、彼らと共に“勇気を試す冒険”に興じる日々を過ごしていた。一方で、同じ家に住む、肺病を患う従妹の美那には恋心を抱いていた。彼女も俊彦同様、女友達のあきねや千歳ともに“不良”なる青春を謳歌していた。しかし、そんな彼ら彼女らの純粋で自由な荒れぶる日常は、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆくのだった。。「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」に続く“戦争三部作”の最終章。檀一雄による同名短編小説を大林宣彦監督が映画化した作品。

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『パンとバスと2度目のハツコイ』:淡い恋心が再燃していくちょっと大人な恋愛劇。ホンワカした雰囲気の中に、えらく現代的な恋愛観が凝縮されている傑作!

パンとバスと2度目のハツコイ

「パンとバスと2度目のハツコイ」を観ました。

評価:★★★★★

パン屋で働く市川ふみは、結婚に踏ん切りのつかない恋愛こじらせ女子。付き合っていた彼からプロポーズされるも、「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という独自の結婚観で断ってしまい、そんな彼とも疎遠になってしまった。そんな彼女の趣味は、仕事終わりに職場のパンを食べながら、近くのバス操車場でバスの洗車を眺めることくらい。そんなある日、彼女の中学時代の初恋相手であるたもつが、職場のパン屋にやってきた。彼は離婚した元妻のことを忘れらずにいるモヤモヤとした状態だった。学生時代より忘れていた淡い恋心が、小さくそして確実に再燃していくのだが。。2016年にアイドルグループ『乃木坂46』を卒業した深川麻衣の初主演作。「退屈な日々にさようならを」の今泉力哉監督が映し出した作品。

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『少女ファニーと運命の旅』:子どもたちの目線で描いた戦時下逃走劇。冒険劇のような面白さもあるが、大人の顔色を伺いながら生きる子たちの姿はいつの時代も悲しい。。

少女ファニーと運命の旅

「少女ファニーと運命の旅」を観ました。

評価:★★★☆

1943年、ナチスドイツの脅威はヨーロッパに広がり、フランスもその支配下にあった。勝ち気さを内に秘めた13歳のユダヤ人の少女ファニーは幼い二人の妹と共に、協力者たちが秘かに運営する児童施設に匿われていた。ファニーの楽しみは検閲の目をくぐって届く母からの手紙と、夜中にベッドの中で父からもらったカメラのファインダーを覗いて楽しかった日々を思い出すことだ。ある日、心無い密告者の通報により、子供たちは別の協力者の施設に移らなくてはならなくなる。やっと落ち着いたと思ったのも束の間、その施設にもナチスの手が迫っていた。。監督は、「女の欲望に関する5章」のローラ・ドワイヨン。

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『あなたの旅立ち、綴ります』:ビジネスで成功を収めた女性が依頼する生きている間の訃報記事作成。役者の演技には上手さを感じるが、お話が結構ボヤケたイメージしか残さない。。

あなたの旅立ち、綴ります

「あなたの旅立ち、綴ります」を観ました。

評価:★☆

ビジネスで成功を収めた老婦人ハリエットは、引退した今の生活に何の不満もなく生きてきた。いや、むしろ何もなさすぎて、雇っている家政婦や庭師の仕事ぶりを細かくチェックしては、彼らの仕事を奪ってしまうくらいに何もない生活だった。そんなある日、新聞を眺めていたら、ある訃報記事に目を留める。そこに書かれている文章を読むうちに、生きているうちに自らの訃報記事を書かせるという突拍子もないアイディアを思いつく。早速、地元新聞の訃報記事専門記者アンに書かせることに。最初は嫌々ながらも、上司の命令で仕方なく記事のために取材を始めるアンだったが、ビジネスでも独善的だったハリエットを良く言う者はおらず、記事作成は難航を極めることになる。そのことを知ったハリエットは、最高の訃報記事になるように自分を変えると決心するのだが。。S・マクレーンとA・セイフライドがプロデュースも務めた人間ドラマ。監督は「プロフェシー」のマーク・ペリントン。

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