『シェイプ・オブ・ウォーター』:ギレルモ・デル・トロ流の逆人魚姫伝説。映画の各要素はとても素晴らしいのだが、肝心のロマンスにイマイチ納得感が。。

シェイプ・オブ・ウォーター

「シェイプ・オブ・ウォーター」を観ました。

評価:★★★☆

1962年、ソ連との冷戦下のアメリカ。声を出せないイライザは政府の極秘研究所で清掃員として勤務していた。毎日の生活の慎ましやかなもので、自分のことをフォローしてくれる同僚のイライザや、優しく接してくれる隣人のジャイルズとの交流が心の支えだった。そんなある日、研究所にアマゾンで神と崇められていた不思議な生きものが運び込まれる。極秘裏に進められていた、その謎の生物の実験を目撃したイライザは、その生きものの姿に魅了される。イライザは子どもの頃のトラウマから声を出せなくなっていたが、声を発しないその生きものとの交流に声は必要なかった。2人の心は通い始めるが、やがて彼がある実験の犠牲になることを知る。。「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロによる、第74回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞及び第90回米アカデミー賞作品賞受賞のファンタジー・ロマンス作品。

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『少女ファニーと運命の旅』:子どもたちの目線で描いた戦時下逃走劇。冒険劇のような面白さもあるが、大人の顔色を伺いながら生きる子たちの姿はいつの時代も悲しい。。

少女ファニーと運命の旅

「少女ファニーと運命の旅」を観ました。

評価:★★★☆

1943年、ナチスドイツの脅威はヨーロッパに広がり、フランスもその支配下にあった。勝ち気さを内に秘めた13歳のユダヤ人の少女ファニーは幼い二人の妹と共に、協力者たちが秘かに運営する児童施設に匿われていた。ファニーの楽しみは検閲の目をくぐって届く母からの手紙と、夜中にベッドの中で父からもらったカメラのファインダーを覗いて楽しかった日々を思い出すことだ。ある日、心無い密告者の通報により、子供たちは別の協力者の施設に移らなくてはならなくなる。やっと落ち着いたと思ったのも束の間、その施設にもナチスの手が迫っていた。。監督は、「女の欲望に関する5章」のローラ・ドワイヨン。

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『サニー/32』:幼児殺害事件の犯人に祭り上げられた女性を監禁したことで起こる殺戮劇。エンタメとして見るには趣味が悪いが、こういう危険もあるんだという教訓劇としてみるべき。

サニー

「サニー/32」を観ました。

評価:★★

新潟のとある町の冬。ここで中学教師をしている赤理は仕事も、私生活もぱっとしないまま24歳の誕生日を迎えていた。その日、彼女は見ず知らずの男2人に拉致・監禁される。拉致した小田は嬉々としてビデオカメラを回し、柏原は赤理のことを“サニー”と呼ぶのだった。”サニー”とは14年前、当時11歳だった小学女児が同級生を殺害した事件の犯人の通称だった。事件発覚後、マスコミが使用した被害者のクラス写真から加害者の女児の顔が割り出され、目を引くルックスから「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とたちまちネットなどで神格化されたのだ。出回った写真での右手が3本指、左手が2本指でピースサインをつくる独特の決めポーズも話題を集め、“32(サニー)ポーズ”と名付けられ、彼女自体も“サニー”と呼ばれるようになった。2人は“サニー”のカルト的信者だったのだ。サニーとされた赤理は、監禁部屋からの必死の脱出を試みるのだが。。NGT48卒業を発表した北原里英主演のサスペンス。監督は、「凶悪」の白石和彌。

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『殺人者の記憶法』:記憶が薄れていく元殺人犯が連続殺人犯を追うサスペンス劇。俳優も、物語もとてもパワフルな作品だが、それはぶっ飛んでいるのと紙一重な感じもする。。

殺人者の記憶法

「殺人者の記憶法」を観ました。

評価:★★★

アルツハイマーを患う元連続殺人犯ビョンス。ある日、接触事故で偶然出会った男テジュから異様な雰囲気を感じ取ったビョンスは、彼も殺人犯であることを直感する。警察に届け出るビョンスであったが、なんとテジュは警察の人間であり、アルツハイマーで不可思議な行動をして警察に厄介になることもあったビョンスの訴えを誰も信じなかった。止まらない連続殺人に、やがて自分の娘も標的になっていることを感じたビョンスは、自力でテジュを掴まえようと画策するが、同時に薄れていく彼の記憶とも戦わなければならなくなる。。キム・ヨンハによる同名小説を「サスペクト 哀しき容疑者」のウォン・シニョン監督が映画化した作品。

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『スリー・ビルボード』:ミズーリ州の田舎道に掲げられた3枚の広告看板が引き起こす人々の心の葛藤。見応えあるドラマ劇だが、警察署長の行動がどうも腑に落ちなかった。。

スリー・ビルボード

「スリー・ビルボード」を観ました。

評価:★★★★

アメリカ、ミズーリ州の寂れた田舎町。ミルドレッドは毎日不満の中で生きている。それは7カ月前に何者かに娘を殺されたのに、警察の捜査は一向に進展しないからだった。業を煮やした彼女は、自宅近くの寂れた道路に朽ちた3枚の広告看板があったのに目を止める。彼女は持ち金をすべて注ぎ込み、その3枚の看板に警察への批判メッセージを書き、設置することにした。たった3枚の広告が普段平穏な街の人々の心に、何かざわめきのようなものを引き起こす。そして、事態は予想外の方向に向かっていくのだった。。第74回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞を授賞したサスペンス。監督・脚本・製作は「セブン・サイコパス」のマーティン・マクドナー。

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