『エイリアン コヴェナント』:エイリアンの起源に迫るプロメテウスの続編。エイリアンで描きたいことがエイリアンではないように感じる作品。。

エイリアン コヴェナント

「エイリアン コヴェナント」を観ました。

評価:★★

人類初の大規模な宇宙移住計画のために航行していた宇宙船コヴェナント号は、ある日、大規模なトラブルに見舞われ、そのときに女性の声が入った謎の電波をキャッチする。コールドスリープされていた2000人の命を預かるクルーは、移住先のオルガー6への航行が難しくなると判断。調査の結果、地球と同じような環境にあった、その電波が発信された惑星へ向かう。そこで、女性乗組員ダニエルズをはじめ、クルーは恐るべき真実と向き合うことになる。。SFホラーの金字塔「エイリアン」の原点に迫った「プロメテウス」の続編。監督は前作に引き続き、リドリー・スコットがメガホンを取っています。

1979年に公開された「エイリアン」。独特のクリチャーだけでなく、1作目に登場した主人公リプリーで4作まで作られた続編と、プレデターとのバトルなどを繰り広げる番外編も2作生まれ、もはやエイリアンという単体の存在でも、ターミネーターやロボコップなどに並ぶくらいにハリウッド映画を代表する存在になってきています。そんな中、1作目の「エイリアン」を生み出したリドリー・スコットは、「タイタニック」のジェームズ・キャメロンが製作した「エイリアン2」は認めているものの、その他の作品は全く認めていなく、そして、この作品によっぽどに愛着があるのか、エイリアンがなぜ登場することになったのかという起源を探る「プロメテウス」を2012年に製作。僕は最初、この作品がエイリアンシリーズと知らずに観て、結構ラストのラストで度肝を抜かれたのですが、サイエンス映画のような切り口で最後に上手くシリーズにつなげる色を出してくるという前作に好感すら持ちました。でも、このシリーズも三部作になると聞き、どういう色で展開するのかというのが若干気がかりでしたが、少し僕の不安が的中した続編になったかなと思います。

きっと、リドリーにとって、エイリアン以上にこだわりがあるのが、79年の「エイリアン」でも登場してきたアンドロイド(人造人間)という存在(実際に、「エイリアン2」でもアンドロイドが重要になっていて、それがリドリーが高評価しているのではないかと推測)。「プロメテウス」でもマイケル・ファスペンダーが演じたデイヴィッドという存在がキーになり、結果的に人間の浅はかな欲望というのが、エイリアンという恐ろしい存在を生まれさせることになる。それはリプリー主演の全4部作でもそうでしたし、そのデイヴィッドがさらにエイリアン増殖を加速させる事になってしまうという本作にも現れていると思います。ただ、このアンドロイドの過激な暴走にこだわるあまりに、引き回される人間の存在であったり、前作でも登場したエイリアンを生み出した宇宙人(?)たちの物語がとっても浅いものになってしまっている気がします。そもそも「プロメテウス」で古代人たちが何かを描いて、それが宇宙人たちの存在へと導いていくことになるという、SFミステリー的なところは全く本作では触れられず、一体あれは何だったのかという消化不良さえ起こしているようにさえ思えるのです。結局、エイリアンでやりたいサブストーリー的なところがメインにきすぎて、肝心のエイリアンが置き去りにさられているようでならないのです。

無論、リドリー・スコットという人は多才だし、映画そのもののつくり方へのこだわりや、エイリアン映画ならではの怪しげな造形美というのも冴えてるだけに、いささかB級映画の王道を行くような物語の安っぽさがどうしても惜しいように思えてならない印象でした。

次回レビュー予定は、「ワンダーウーマン」です。

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