『カーズ/クロスロード』:カーズ三部作最終章のテーマはずばり”引き際”!ここ10年の技術の進歩で、カーレースの描写がすごく迫力あるものになっている!

カーズ/クロスロード

「カーズ/クロスロード」を観ました。

評価:★★★☆

日本語吹替え版にて。

華々しく第一線で走り続けてきたマックィーンもベテランとなり、レースをしてきた仲間たちも次々と引退に追い込まれていた。そんなトップ争いを演じてきたマックィーン自身も、新しく登場していた最新型のレーサーに勝てなくなっていた。そんななか、レース中に無理をして大クラッシュを起こし、マックィーンは初めて挫折を経験する。失意のマックィーンは再び”ラジエータ・スプリング”に戻り、英気を養うが、レースへの憧れは捨てきれず再起を誓うのだった。。ディズニー/ピクサー制作のフルCGアニメ「カーズ」シリーズ第3作。製作総指揮は「カーズ」「カーズ2」で監督を務めたジョン・ラセター。監督は、前2作などにスタッフとして参加してきたブライアン・フィー。

2006年に公開された「カーズ」ではカーレースに突如登場した新鋭だったマックィーンも、約10年を経った本作では引退を迫られるという内容になってきました。こんな僕もちょうど中学生くらい(1990年代)のF1ブーム世代で、約20年くらい今の今までF1だけは追いかけていますが(カーレースとしてはパリダカとか、GTとかも見てた時期もあるんですがね、、)、それこそ90年代のF1と今のF1ではレースのレギュレーション(規程)だけではなく、そこに使われる技術も、ドライバーの世代さえも随分と違ってきました。たった10年といえども、カーレースという技術が詰まった競技だけではなく、野球とかサッカーとか、普通のスポーツ競技でもトレーニング手法であったり、スポーツを中心とした文化であったりも、随分様変わりしてきます。それでも変わらないのは、若手から中堅、そしてベテランとなり、引退という人生の営みくらいでしょうか。本作はどんな人にも訪れる”引き際”というのが、映画の大きなテーマとなってきます。

これはスポーツ選手だけではなく、どんな職業の人にも訪れる瞬間。”いつまでも現役”という言葉はあるものの、会社員であれば、課長、部長という役職がつかなくとも、現場の第一線から人を統率する立場や指導していく立場に立たなくてはなりません。会社という枠組みにハマらない人でも、たとえば、所属している業界や産業、あるいは家庭や地域というところをどう次世代に継承していくかを考えねばならない。無論、身体の衰えとかもあるかもしれませんが、人として社会を形成している一員である以上は避けられない課題ともいえます。それでも、本作のマックィーンのように今でもやれるという想いや、過去の栄光や思い出にどうしても人は縛られる。身体は衰えているかもしれないですけど、経験から培った知識で俯瞰できるからこそ、引いた後でもどういう自分であることが幸せなのかを考えるのが肝要なのかもしれません。

一作目の「カーズ」ではルート66と”ラジエータ・スプリング”という寂れた街の復興を、「カーズ2」では007ばりのスパイアクションと世界転戦というダイナミックな作品に物語を展開してきましたが、本作ではしんみりしたテーマな分だけ、やや作品の物語空間としては小さくまとまってしまった感は否めません。あとトリロジー(三部作)としての展開手法が、「トイ・ストーリー」のそれと同じなのがどうしても既視感が拭えないのもどうかなーと思う部分ではあります。でも、カーレースの描写は技術の進歩とともに、格段と迫力あるものになったのはなかなかいいです。子ども用映画と侮らずに、迫力あるエキゾーストノートを体験して欲しい作品です。

次回レビュー予定は、「メアリと魔女の花」です。

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