『メアリと魔女の花』:ジブリ色を上手い形で残しながら、新たな方向性も感じられる意欲作!作品はすごく面白いんだけど、どこかで既視感が漂うのがなんとも。。

メアリと魔女の花

「メアリと魔女の花」を観ました。

評価:★★★

赤毛でそばかすのある少女メアリは、祖母の住む赤い館村に引っ越してきた。引っ越しの荷解きもままなならない中、何とか祖母の役に立ちたいと思うメアリはいつも空回りばかり。近所に住むピーターと知り合った彼女は、ある日偶然に森の奥でひっそりと生える不思議な花を見つける。大事に持ち帰った彼女は、その花が7年に1度しか咲かない禁断の花“夜間飛行”であることを知る。それはかつて、魔女の国から持ち出された”魔女の花”でもあったのだ。花の持つ一夜限りの不思議な力を手に入れた彼女は、雲海にそびえ立つ魔法の学校・エンドア大学への入学を許可される。メアリー・スチュアートの児童文学を原作に「思い出のマーニー」の米林宏昌監督がアニメ映画化。

「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」などの日本を代表するアニメを生み出したスタジオ・ジブリ。近年でも、「君の名は」の新海監督や、「バケモノの子」の細田監督など、新しい流れを生む日本アニメも増えてきましたが、やはり僕たち世代(30代〜40代)にはジブリのアニメこそ、日本を代表するアニメーションだと思って育ってきただけに、2015年のジブリの解散(製作のみで配給は継続)というのはちょっとショックでした。でも、ジブリの潮流というのを受け継ぐ監督のいうのが、ジブリで「借り暮らしのアリエッティ」や「思い出のマーニー」を担当してきた米林監督。彼の独立後、第1作目の長編アニメーションが本作となります。

観ていて、すごく面白い作品だと思うと同時に、何かどっかで観たような、聞いたようなお話の展開なんですよね。ストーリーのネタバレはしないですが、これは基本が「千と千尋の神隠し」で、それに魔法学校が出てくる”ハリー・ポッター”のような要素をトッピングしたような味わいに(話の筋は違えど)思えてくるのです。例えば、エンドア大学の校長は、僕はどうしても湯婆婆にしか見えなかった。。こうした元来面白い作品のペーソスを土台にしているように感じるので、面白くないわけがないのですが、本作オリジナルで作られるような楽しさが少し感じられないのが残念なところ。原作ものなので、極端な味付けはしていないとは思いますが、こうした既視感が拭えないのはどうなのかとも思います。

ただ、これも裏を返せば、スタジオポノック設立後の1作目だと思えば、偉大な先人の味をまずは模して堪能できるという面白みと、映画作品を観た充実感を味合わせる力量はさすがだと感じます。前作「思い出のマーニー」のような話の奥深さはないものの、SEKAINOOWARIが歌う主題歌「RAIN」も作風にすごくマッチしているなど、各所で楽しさを感じられる作品になっていると思います。

次回レビュー予定は、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦」です。

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