『14の夜』:AV女優のサイン会を巡る、街のヤンキーたちの一喜一憂劇!ヤンキー、悪ガキと田舎町の閉塞感が作品の絶妙な空気感となっている!

14の夜

「14の夜」を観ました。

評価:★★★★☆

1987年の田舎町。悶々とした日々を送る中学生のタカシは、隣に住む幼馴染みで巨乳のメグミのことが気になっている。父親は不祥事を起こして職場から自宅謹慎を言い渡されるダメダメっぷりで、姉がフィアンセを連れてくる中、更にそのダメさに家庭内ではうんざりしていた。そんな中、町のレンタルビデオ屋でAV女優がサイン会を開催するという噂が聞こえてきて、所属している柔道部の一同で繰り出そうということになるのだが。。「百円の恋」の脚本家・足立紳の監督デビュー作。

1987年という時代設定だと、僕は小学生3年くらい。そんな遠くない昔を描いているだけあって、いやー懐かしいなと思う映像構成で少しホンワカとする雰囲気の出だしな作品鑑賞になりました。といいつつも、主人公は中学生2年の14歳という設定。AV女優見たさを理由に、とりあえずウザい日常を何とか解消していきたいなという気持ちも分からなくはない(笑)ストーリーなのですが、僕がこの作品で注目したのはいわゆる悪ガキというか、ヤンキーといわれるものの存在。映画でも出てくるのですが、特に中学や高校での上級生との関係というのは怖いという存在だったなと思い返すのです。

僕は高校は工業高専に進んでしまったので、大学みたいな高校時代ではそんな感覚はなかったのですが、中学というと早くに大人になってしまうヤンキーたちと、いつまでも小学生を引きずっているガキに分かれると思うのです。僕は後者だったので、特に中学に入学したときに中学3年生の先輩というのは、何か大人びた嫌な雰囲気しか感じられなかったのです。まぁ、入った当初は同学年の悪ぶったやつに上級生から目をつけられてるとか、いわゆる学校の溜まり場みたいなところに呼び出されるとか脅かされたものです(全然、言いがかりだけだったんですけどね笑)。小学校では優しいお兄さんというイメージだった上級生が中学に入ると(年の差3つしか離れていないのに)、なぜこうも変わってしまう(ように感じた)のか未だに不思議なくらいです。

田舎町ではこうしたヤンキーたちが、なぜかその地域の、その世代の代表みたくなっていて、優秀な頭のいいやつはどんどん街を出ていってしまっているので、その関係がそのまま大きくなってしまったように感じてしまいます。話がだいぶ飛びましたが、そうしたヤンキーたち、そしてヤンキーたちに囲まれた育った世代としては、本作がとりあげるどうしようもない地域束縛感と、たかがAV女優のサイン会というだけでもヤンキーにとっては街を上げるような象徴にされてしまうことに、ある種の懐かしみというか、何だかホンワカしてしまう気分になるのです。

主演のタカシを演じた犬飼直紀は若手ながらも凄い演技力。舞台を中心に活躍されているそうですが、今後は映画俳優としても大成してくれることを願います。1980年代の雰囲気は低予算ながらもうまく醸し出されていると思いますが、最後の夜のロケーションでその当時にはないものがいろいろとカメラに映り込んでしまったのが、少々残念でなりません。。

次回レビュー予定は、「僕とカミンスキーの旅」です。

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