『メッセージ』:SFであるようで、SFでない部分がミソなミステリアスSF!映画の雰囲気は悪くないが、結局、宇宙人が何しにきたのかがいまいち腑に落ちない。。

メッセージ

「メッセージ」を観ました。

評価:★★★

言語学者のルイーズは湖畔に住み、大学での講義を行いながら、今はいない娘ハンナとの何気ない日常を思い返していた。そんなある日、地球各地に大きな宇宙船のような物体が現れる。世界各国が緊急の警戒体制へと入る中、彼らの言語を解明するよう要請されたルイーズとスタッフたちは、一路宇宙船のもとへとやってくる。不可解な音声とシンボルのようなマークを発する宇宙生物たちの言語を解読するルイーズ。そこには驚くべきメッセージが含まれていた。第89回アカデミー賞で作品賞を含む8部門にノミネートされ、音響編集賞を受賞したSFドラマ。監督は、「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。原作は、テッド・チャンのネビュラ賞受賞作『あなたの人生の物語』。

難しい評価のタイプのSF劇。SFというと、今年の「パッセンジャー」の感想文でも、宇宙を舞台にしながらアクションではなく、宇宙に投影される人間の深層心理を描き出す作品もあるということを書きましたが、本作もそんなタイプの作品。ただし、「パッセンジャー」とは違って、地球に異星人が降り立つ「インディペンデンス・デイ」タイプの宇宙人。「インディペンデンス〜」では好戦的な宇宙人たちの来襲でしたが、本作での宇宙人は果たしてどうなのか? 彼らのメッセージに含まれていた「私たちは地球人に武器を与えにきた」ということの、”武器”とは何なのか?というのが1つの物語を解くキーポイントになってきます。

まぁ、こうした謎の部分を明かしてしまうと面白くない作品なので、そこには触れませんが、作品を見て感じたのは十数年前に観たソダーバーグの「ソラリス」に作品の味わいが似ているなと思いました(ということは自動的に「惑星ソラリス」にも似ているのかもしれませんが、、笑)。「ソラリス」は宇宙に漂う宇宙船の中での物語であったのですが、あの作品でも突き詰められていたのは人の心であったり、感情という部分から想起されるドラマだったりする。SFでありながら、(ネタバレかもしれないですが)人間ドラマになっているところに、異質なものの組み合わせから生じる何ともいえない味わいにホッコリする方もいられることだと思います。

ただ、SF的な(科学的な)視点で観てしまうと、なぜ宇宙人がわざわざやってきて、紛らわしい武器を人に与えるのかがどう考えても僕は謎でした。彼らも利己的に動いた結果ということは示されますが、こんな回りくどい方法を宇宙人が取らないといけないくらい、彼らの抱える危機は重要なのか? それが映画では示されないので、なぜ宇宙人はやってきたのだろう??という根本的な問いに戻ってしまうのです。でも、シンプル・イズ・ベストな透明感漂う演出方法に関しては、僕は意外に嫌いじゃないので、また機会があれば見直すと違う感想が持てるのかもしれません。

次回レビュー予定は、「14の夜」です。

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