『スウィート17モンスター』:主人公の少女が感じた絶望に誰もが共感するであろう青春コメディ。微笑ましいながらも、大人への大事な道筋をも示す良質映画!

スウィート17モンスター

「スウィート17モンスター」を観ました。

評価:★★★

キスも未経験でイケてない日々を過ごす高校生ネイディーン。唯一の救いは、小さな頃からちょっとおかしな趣向が合った親友のクリスタの存在だった。だが、そんな親友が兄が惹かれ合っているのを知り、とてつもない疎外感を感じてしまう。ネイディーンの空回りした行動は、国語教師ブルーナーや神経衰弱な母親をも巻き込んでいくのだった。。「トゥルー・グリット」でアカデミー賞にノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが悩める少女を演じた青春コメディ。監督・脚本は、本作で初めてメガホンを取ったケリー・フレモン・クレイグ。

誰しもが経験する高校時代。しかし、そんな青春の輝けるときでも不幸だなと思うのは、学校という束縛された環境の中で、どうしてもスポーツ万能で頭脳も明晰、ルックスも抜群なイケているグループと、そうでない大多数のイケていないグループがいることだ。それぞれのグループ内でひっそりと過ごせていればいいけれど、一度その境界線を越えようとした者がいたときには一瞬周囲がザワザワとする。本作はそんなタイプの映画です(笑)。主人公ネイディーンは大多数のイケていないグループ族。それでも幼馴染のクリスタがずっと傍にいるからこそ、イケているやつの悪口を言い合うことでひっそりと生きてきた。それでもある日、そんなクリスタがイケているグループ族の兄と交際を始めたことで、ネイディーンはイケていないグループに取り残されてしまう。たった1人の友達を失った彼女は、あろうことか教師のブルーナーにそのはけ口を求めるなど、おかしな行動をし始めるようになっていく。。

僕も当然主人公ネイディーンと同じく、イケていないグループ族だったので、イケているグループ族の内情がどうなのか分かりませんが、イケていないグループの中でも映画にも少し登場するように、ガリ勉族やオタク族、ヤンキー族や科学族など、細かなグループに分かれている。少人数で固まっているやつもいれば、ほとんど1人で行動する一匹狼もいるなど、実に多種多様なのだ。でも、正直言って、こうしたイケているイケていないという大きな線引きをしてしまうのは、青春時代までだと少なくとも僕は思います。大富豪などの一部のセレブ族は別にして、大人になってしまえば、子どもの頃はグランドキャニオン級に思った、この2つの間の境界線は、実は裏の小川ぐらいに小さなものなのだ。イケていると思っていたやつは実は頭すっからかんだったり、逆にダサいと思っていたやつが実社会では成功したりもする。結局人次第だというのを、周りのブルーナーたちが面白優しくネイディーンを諭していく姿が実に微笑ましい。ネイディーンがイケているイケていないのグループの枠をもがきながらも振り払ったラストシーンで、彼女は大人の階段を一歩も二歩も登っていったのです。

次回レビュー予定は、「3月のライオン 後編」です。

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