『名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)』:コナン映画にお決まりの爆破スペクタクルは2度も見れるが、映画の空間作りにワクワク感はしない。。

名探偵コナン から紅の恋歌

「名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)」を観ました。

評価:★☆

大阪の日売テレビで爆破事件が発生する。日本の百人一首会を牽引する皐月会が開催する皐月杯の会見を収録していた局内はパニックに陥る。偶然その場に居合わせた西の名探偵・服部平次とその幼馴染・和葉が取り残されるが、駆け付けたコナンによって救出される。犯行声明もなく、テロのような事件に犯人の思惑も掴めないままだった。その爆破事件の騒動の中、コナンたちは平次の婚約者であるというかるたの高校生チャンピオン、大岡紅葉と出会う。ひょんなことから和葉が平次を賭けて、紅葉と百人一首かるたで勝負をつけるため皐月杯に出場することになる。一方、京都では過去の皐月杯優勝者が殺される事件が発生するのだが。。『名探偵コナン』劇場版第21弾。監督は、前作「名探偵コナン 純黒の悪夢」に引き続き静野孔文。

「クレヨンしんちゃん」とともに、春のGW時期の劇場公開となっているコナンシリーズも、1997年の第1作「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」から本作で21作目を重ねます。僕が映画をよく観始めたのが、この1作目くらいの時期からなので過去のコナン映画を観た記憶を辿っていくと、映画歴というか、今はなき映画館での鑑賞の思い出も思い出され、多少哀愁を持った気持ちになっちゃたりもします。とはいうものの、初期の数作品は連続で劇場で観たことがあるものの、TVシリーズもあまり観なくなったのと同時に劇場作もテレビで放映されるのをたまに見るくらいになってきています。その中での久々の劇場での鑑賞(といっても、2013年の「名探偵コナン 絶海の探偵」は映画館で観てますが、、)は、関西が舞台となっている作品。ちょっと期待を込めての鑑賞となりましたが、昔のシリーズの良さがちょっとなくなっているかなという印象でした。

今年は「ドラえもん」も劇場で観る機会(「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」)もあって、僕が小さい頃から観ている、こうした定番アニメ劇場作のつくり方が違ってきているのかなと本作を観て思いました。「ドラえもん」のときにも書きましたが、こうした劇場作品の良さは、TVシリーズでは扱えない異空間や異世界との遭遇に心躍るということでしょう。コナン作品も例外ではなく、過去作を観ると、人気遊園地での逃走劇があり(第2作「14番目の標的」)、VR空間での脱出事件があり(第6作目「ベイカー街の亡霊」)、大型クルーズ船でのタイタニック劇があり(第9作目「水平線上の陰謀」)と、やはり事件の前に、ワクワクするような舞台設定をしっかりしてくれることが映画鑑賞の醍醐味を味わえるポイントとしてあったと思うのです。本作も、関西が舞台になっているという一応の設定はあるものの、平次や和葉は出てくるものの、関西風の場所が描かれるのみで関西感という味わいは少し薄いかなと思います。これなら、がっつりと京都が舞台になった名作第7作「迷宮の十字路」のほうが、より関西を味わえた作品だったかなと思うのです。

こうした映画ならではの舞台づくりが効いていないので、いくらコナン映画お決まりの爆破脱出シーンを序盤と終盤の2回に分けて挿入しても、何だかお決まりのシーンを再生させられているような気がしてならないのです。だったらもう1つの百人一首を作品のテーマにすればいいのに、こちらも「ちはやふる」に比べると、映画の主軸には置かれないあっさりとした描写に過ぎない。やはり核のない作品は、いくらスペクタクルを用意していようが薄い興奮しか感じられないのです。「ドラえもん」もこうした早い展開で矢継ぎ早に描く感がしたので、今の若い世代にはこうした描き方の作品に移行していて、自分がおじさんになっただけなのかもしれないですけどね(笑)。今(2017年5月)、衛星放送でコナン映画20周年を記念して、過去のコナン映画が毎週末数本放送されているのですが、それを観ていても過去の作品に名作が多いな、、と感じてしまう次第です。。

次回レビュー予定は、「海は燃えている」です。

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