『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』:今回の作品は真夏設定の南極冒険劇。冒険、、というワクワク感をもう少しお話で拡げて欲しい。。

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」を観ました。

評価:★★

真夏のうだるような暑さを避け、のび太たちは南太平洋でひみつ道具の氷ゴテを使い、氷山に遊園地を作って遊んでいた。その氷山で、のび太は不思議な腕輪が氷の中にあるのを発見する。腕輪をよく調べると、なんと10万年前の南極で作られたことを知る。持ち主を探して南極に行くのび太たち。すると、氷の下に眠る巨大都市遺跡を発見する。タイムベルトで腕輪が埋められた10万年前に向かったところ、腕輪の謎を追う少女たちと出会うのだが。。南極を舞台に冒険を繰り広げる、藤子・F・不二雄原作のアニメ映画シリーズ第37弾。監督は「青の祓魔師 ―劇場版―」の高橋敦史。

ドラえもんシリーズも通算37作目。ちょうど、第1作目の長編映画「ドラえもん のび太と恐竜」が公開された年に生まれたので、だいたい僕の年齢とドラえもん映画の公開作数というのはあっているのです(笑)。新声優陣に交代になって、作品がリニューアルされて以来、映画版は過去のシリーズのリメイクと、オリジナルを年ごとに交互に公開していますが、今年はオリジナルの年。僕も劇場で観るのは、2014年のリメイク作「ドラえもん 新・のび太の大魔境」以来で、オリジナルは初めて観るのでちょっと期待しての鑑賞でした。

ひみつ道具やのび太やその友達と繰り広げる冒険劇を楽しむ子どもたちと違って、大人の目線で観るドラえもんというのは、どうしても藤子・F・不二雄が生前だった時代(コロコロコミック世代!!)や、大山のぶ代らの旧声優陣たちの作品のイメージに引っ張られてしまうのは致し方ないところ。それを差し引いたとしても、今回の南極での冒険はちょっとスケール感が小さいかなと思います。10万年前の巨大都市が地下に眠っている、、というだけで子ども心にはワクワクするもので、それを印象づける冒頭のエピソードがあるのに、いざ10万年前の地下都市になっても、どこか物語としても拡がっていかないのです。長編ドラえもんの面白さというのは、単にひみつ道具の楽しさだけでなく、地底都市や雲の上の王国、アフリカ奥地の秘境や、古代国家などなど、まさに王道SFともいえる、時空を超えた位置にある異世界との遭遇のワクワク感と、純粋なのび太とその世界の人とが結ばれる友情劇みたいなところに胸熱になるのですが、少女カーラとヒャッコイ博士だけと、彼らによって語られる言葉だけの歴史だけじゃ、想像力が広がっていかない。登場人物は少なくとも、アニメなのだから奥行きや背景をつけさせる手法はいくらでもあるだろうに、、、と思ってしまうのです。

とはいうものの、新しいドラえもんのナチュラルなフレンドリーさは憎めなくもありません。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ばりのタイムパラドックス設定もしっかりと効かせ、小気味の良さは感じますが。。

次回レビュー予定は、「ハルチカ」です。

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