『クリミナル 2人の記憶を持つ男』:重大な秘密は脳内移植で移された記憶の中に隠されている。トンデモ設定を納得させるオジサマ俳優3人の名演が光る良作!

クリミナル

「クリミナル 2人の記憶を持つ男」を観ました。

評価:★★★☆

謎のハッカー“ダッチマン”の居場所を知るCIAエージェント、ライアンが任務中に死亡した。”ダッチマン”は米軍の核ミサイルをも操作可能な恐るべきプログラムを開発していたが、彼を支援していたテロリストと反目し、ライアンの保護を受けていたのだった。”ダッチマン”の存在が分からなくなり、テロリストも彼の行方を追う中、プログラムの流出を防ぎ、世界を救う最後の希望として託されたのは何と死刑囚ジェリコだった。新開発の脳内移植技術により、死亡したライアンの記憶を写されたジェリコは、テロリストとの闘いに挑むのだが。。他人の記憶を脳に移植された男の壮絶な運命を映し出すスパイアクション。監督は「THE ICEMAN 氷の処刑人」のアリエル・ヴロメン。

人の記憶を移植するというトンデモ設定は、過去のB級アクション映画でもあったと思いますが、本作はすごく重厚というか、肉厚な設定が見もので観る者を飽きさせない作品になっています。何といっても、登場してくる役者陣の顔ぶれがいい。主演のジェリコを演じるのはケヴィン・コスナー。こんなB級アクション映画になぜ??と思うのですが、これがドウェイン・ジョンソンとか、スタローンとかじゃあこういう味わいがでなかったでしょう。荒くれで向こう見ずな犯罪を犯してきたという悪役っぷりは、やはりやや欠けるものの(笑)、家族想いで純真だったライアン捜査官の心が残っているという設定が、彼のダンディズムにはピッタリとハマるのです。それに脳内移植を担当する科学者に、日本では超有名人なトミー・リー・ジョーンズ、カッコいいけどダサい振る回される捜査主任にゲイリー・オールドマンというのも渋くてハマる配役なのです。特に、オールドマンなんか、「ダークナイト」や「裏切りのサーカス」のような超かっこいいクールな捜査官役よりも、本作のようなバカボンに出てくる警官や銭形警部のように、とことん周りに振り回される間抜けな中間管理職役が役柄がピッタリと似合うのです(笑)。これは非常に痛快だったなー。

でも、やはりお話的にはB級の域を抜け切れていないので、この感想文を書いている段階くらいではストーリーもややおぼろげになるくらい印象に残らない作品になっています。それでもライアン役のライアン・レイノルズが霞むくらい、この作品では上記のオジサマ3人が、とことん活き活きと演技しているのがとことん楽しいのです。お話も決してつまらなくはないし、ラストにはニヤッと笑える終わり方を用意させるなど、エンターテイメント作品としては水準以上のものを魅せてくれます。ハジけたアクションが最近ないなーと悩んでいる人にはオススメできる一作です。

次回レビュー予定は、「素晴らしきかな、人生」です。

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