『ザ・ギフト』:ドラマの雰囲気はすごく洗練されているが、もう少し怖さを感じる展開にしたほうがよいのでは!?

ザ・ギフト

「ザ・ギフト」を観ました。

評価:★

シカゴから仕事でサンフランシスコに引っ越ししてきたサイモンとロビン。新天地で暮らし始めた彼ら夫婦は新居用の買い出しのとき、偶然、夫の高校時代の同級生ゴードと再会する。軽い気持ちでゴードと連絡先を交換したサイモン夫婦だったが、その日からゴードから繰り返し贈り物が届くようになる。最初は笑顔で対応していた2人だが、やがて周囲で奇怪な出来事が続発するようになってくる。。「ブラック・スキャンダル」などで活躍する俳優ジョエル・エドガートンが初監督・脚本・出演を務めたサイコスリラー。

毎度おなじみの年に何回かある、予告編の雰囲気だけで観てみた作品の1つ。何気に知り合った人が、実はサイコだった、、、というのは昔からあるジャンルですが、本作もその類の1つ。。。というだけの作品でした(笑)。うーん、何でしょ。もう少し怖い作品かと思ったのですが、映画を観ている最中は怖いと思えるところ(大きな音で脅かす系等)の演出はあまりなく、どちらかと言えば、高校で友人ではなく、名前を知っているくらいだったゴードという男が怖い存在になっていくということを限りなく丁寧に描いていきます。ドラマの雰囲気はそれほど悪くなく、西海岸のハイレベルな中産階級の人間ドラマが素直に展開されていくので、見飽きることはないのですが、何か印象的な怖さというものがなく終わっていくような感じがしました。

よく人が愛情を感じる距離というのは、手を上げたり、パンチを繰り出したりする距離感の中に入る近さだといいます。それはその人が愛したい人であれば問題はないのでしょうが、その距離感を感じずに、ずかずかと入ってくる人は失礼でもあるし、過度になってくると、その距離感の縮め方に恐怖を感じるようになっていくのです。人は社会的な生き物でもあるので、単純な手が伸ばせる範囲という物理的な距離だけではなく、自宅に招くのか、職場で隣りに座るのか、あるいはメールやSNSでやり取りするかどうかなど、いろいろな範囲で社会的な距離感やつながりを持って生きている。自分が想定している距離感を打ち破っていく人は、ときには幸せをもたらしてくれる対象にもなったりしますが、逆に恐怖の対象にしかならない人も出てくる。そうした中でも、今までとは違うサイコ映画というのも出てくるのかなー、とヌルい本作のラストを観ていて考えてしまいました。

次回レビュー予定は、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」です。

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