『X-MEN:アポカリプス』:物語のパズルのピースが全てハマっていく、シリーズ作ならではの楽しさとアクションが楽しめる痛快作!!

X-Men:アポカリプス

「X-MEN:アポカリプス」を観ました。

評価:★★★★☆

2Dの字幕版にて。

紀元前3600年。巨大なパワーを秘めた絶対神として君臨していたミュータント、アポカリプスは、衰えゆく肉体を新しい肉体へ転生させる儀式の途中に裏切りにあい、ピラミッドの奥深くに封印される。時を経て、1983年、封印されていたアポカリプスは復活のときを迎える。人間の裏切りにあい、傷心したマグニートーらを従え、世界を滅ぼしにかかるアポカリプスの一団に、彼を阻止すべく、X-MENが再び立ち上がっていく。。特異能力を持つヒーローたちの戦いを活写する「X-MEN」シリーズ第6作目。「X-メン」の前日譚にあたる「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」「X-MEN:フューチャー&パスト」より続くシリーズとしては3作目に当たります。監督は「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガー。

マーヴェル・コミックの「X-MEN」シリーズももう早いもので第6作。シリーズは(スピンオフ作品を除いた)第4作目の「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」から、1〜3作目の設定時期より前を描く前日譚モノになっていますが、1962年のキューバ危機を背景に描いた「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」、1973年と時代を越えた2023年を結ぶという近未来作だった「X-MEN:フューチャー&パスト」ときて、その10年後の1983年という設定で「X-MEN:アポカリプス」が来るという、10年毎描いたステップものになっています。個人的には前作の「X-MEN:フューチャー&パスト」で、1〜3作目までのキャスト陣と、4作目以降の新キャスト(時代設定としては前なんですが、、笑)が引き合ったという意味で、これでシリーズとしては1つの終幕かなと思っていました。それが「フューチャー&パスト」のエンドロール後に本作につながる示唆があり、本作をもって、「X-MEN」1作目に完全につながる伏線を示せたという形になったかなと思います。

本作も含め、特にブライアン・シンガー監督が手がけた4作(「X-MEN」、「X-MEN2」、「X-MEN:フューチャー&パスト」、そして本作)は、物語としての力感が凄いかなと思います。このシンガー監督の凄さというのは、エピソード1つ1つの肉厚さというよりも、数多くいるミュータントたちの物語をしっかりと紡ぎあげていくことにあるのです。主役級のエグゼヴィア、マグニートー、そしてミスティークだけではなく、本当に登場してくる全てのキャラクターに対して、映画シリーズのどこかに登場していたら、そこへ必ず伏線をつなげるようにお話を作っていく。本作ではポスターも含めて、登場していない、”あの”キャラクターまでもエキストラ登場させて、ファンを驚かせ、そしてエンドロール後映像で1作目への布石まで作っていく。これは前作でも違う形で見られましたが、全てのキャラクターに対し、このパズルのピースを全てはめていくような物語の作り方は感服したとしかいいようがありません。

ただ、その分だけ仇となっているのは、各エピソードがすごく薄っぺらくなっていることでしょうか。。誰とは言わないまでも、今まで敵として攻撃してきたのに、あるキャラクターの一言ですんなり心変わりして味方になってしまうという、こうした軽い描写が散見されなくもないのです。どうしても登場してくるミュータントが多くなればなるほど、1人の背景を描く時間が短くなってくるのは仕方がないこと。ただ、こうした中で「僕はあなたの息子ですー。」と叫ばれても、そのお話に説得感があまり出てこないのはどうしたもんかと。。いやいや、本作はそうしたエピソードの薄さを、上記したとおりに全てのパズルとして当てはめている凄さのほうが何倍も上回るのです。本作で敵となっているアポカリプスにも、冒頭観るといろんな背景がありそうな匂いがプンプンするので、そういう描かれなかったエピソードも全て見てみたい。何時間の上映時間でも構わないので、完全版を観たいなーと思わせる傑作だと思います。

次回レビュー予定は、「ペット」です。

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