『フラワーショウ!』:いろんなエピソードに焦点が当たりすぎて、全体に何を描いているのか分からなくなっている作品。。

フラワーショウ!

「フラワーショウ!」を観ました。

評価:★★

メアリーは花や緑を愛し、自らデザインした庭で世界を彩るという夢を抱えていた。晴れて、有名ガーデンデザイナーのアシスタントになるが、各地の庭のデザインをさせられたうえ、手柄は全て横取りされてしまう。挙げ句の果ては、デザインノートを盗まれた上にクビに。どん底の彼女は、イギリスで行われるチェルシー・フラワーショーで金メダルを獲ることを思いつくのだが。。。ガーデニング世界大会の歴史を塗り替えたアイルランド女性の実話に基づくドラマ。2015年ダブリン国際映画祭観客賞選出。監督・脚本は、弁護士の仕事をしながら映画製作を行っているヴィヴィアン・デ・コルシィ。

タイトルを観た時、2000年に公開されたクリストファー・ゲスト監督の「ドッグ・ショウ!」を思い浮かべ、そんな映画なのかなと思いました。「ドッグ・ショウ!」はその名の通り、全米ドッグショーに集まる人々の悲喜こもごもを描いた(傑作)群像劇だったので、本作もフラワーショーに集う人たちをフォーカスしたドラマなのかと(そういえば、ゲスト監督って今何してるんだろ。。)。と思って、予告編を観ると、「プラダを着た悪魔」とか、「マイ・インターン」のような上司部下もので成功にのし上がっていくような作品なのか、、と自分の中の意識が変わってからの鑑賞。。。感想としては、概ね後者の捉え方が正しいのではあるのですが、ビジネス&キャリアを描く映画としては、いやらしい上司が早々にいなくなって、序盤から中盤にかかるところで早速フラワーショウの準備にとりかかってしまう感じで、全体的には庭をどう作っていくかという形に収まりそうに思ったら、主人公メアリーの恋愛話が始まってきて、いやらしい上司との辛味は薄くて、、、と、自分自身の勝手な映画に対するイメージの暴走も悪いのですが、何か予想を裏切るフォーカスの定まらない形で進んでしまう作品でした。

庭を作る映画と思いながらも、中盤から後半にかけてはやや庭造りに焦点があっていないのがやはり少し致命的かなと思います。それに作られる庭は確かに牧歌的で美しくはあるのですが、京都や奈良で見られる枯山水の計算された日本庭園の美しさを知る日本人としては、(映像の具合もあるのかもしれないですが)メアリーが出品した庭がやや野暮ったく見えてしまうのも何だか。一番詰まってしまうのは、チェルシー・フラワーショーの準備といいながら、メアリーが少し迷走気味にあちこちさ迷って、おまえ準備しなくていいのか、、と思えてしまう序盤部分でしょう。ここで作品の惹きつけが弱いので、あとのエピソードもうまく盛り上がってこない気がします。ただ、役者陣の醸しだす空気はいいので、本当に単純にスポ根ドラマのように、大会を一途に目指す中で、もっと庭を作るという使命に燃える部分をフォーカスして欲しかったです。そうすれば、それにまつわる仲間との話や恋愛話も盛り上がったように思うのですが。。

次回レビュー予定は、「ターザン REBORN」です。

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