『シークレット・アイズ』:演じる役者陣は豪華だが、話は地味、、だけど見応え充分!!

シークレット・アイズ

「シークレット・アイズ」を観ました。

評価:★★★

9.11テロ以降、FBIのテロ対策部隊は常に緊迫感に包まれていた。明けた2002年、そんなテロチーム、FBI捜査官レイの同僚で親友ジェスの娘キャロリンが殺される事件が発生する。レイは自らの捜査の傍ら、キャロリン殺害事件の真相に迫っていく。彼らは遂に容疑者を特定するが、逮捕されたのは全くの別人だった。。第82回アカデミー賞外国語映画賞受賞作となったアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」のハリウッド・リメイク作。本作の監督は、「ニュースの天才」のビリー・レイ。主役のレイを、「それでも夜は明ける」のキウェテル・イジョフォーが演じています。

元ネタとなった「瞳の奥の秘密」は多分観たと思うのですが、記憶が少し曖昧。もちろん、どういった話だったかも忘れたので、本作はまったく初見の気持ちで見ることができました。原作映画がアカデミー賞受賞作品なので、作品の質が高いのは当然として、このリメイク版はとにかく出演陣が豪華。キウェテル・イジョフォーは日本ではまだ名前が広まっていないとは思いますが、ニコール・キッドマン、ジュリア・ロバーツ、アルフレッド・モリーナなど、有名どころがドンドン出てきて、そしてどれも名前負けしない演技を魅せてくれる。正直、お話の筋としては終盤まではあまり盛り上がらない類の作品ではありますが、小品だからといって、ビッグネームが作品の雰囲気を壊してしまうことはしない。皆、それぞれのシークエンスにて、与えられた役割をしっかりこなすスマートさを兼ね備えています。

逆に言ってしまえば、終盤までが何だか盛り上がらない雰囲気でチンタラとお話が進むので、それは好き嫌いが分かれるところ。特に、レイとニコール・キッドマン演じるクレアの恋愛話を匂わせるようなやり取りは、よく言えば大人の抑揚の効いたやり取りではあるのですが、傍から観るとじれったくもあります。しかし、そうした静かな中盤の雰囲気がラストで急速に展開するのはなかなか。形は違いますが、「羊たちの沈黙」のような感情を全て吐き出した後の、冷酷無情なヒンヤリとした冷たさを感じ、これにはすごい痺れました。アカデミー賞に輝いたのも、中盤の大人のムーディなドラマがありながら、こうしたヒンヤリとするサスペンスが同居するところがウケたのではないかと思います。有名どころが出演しながら、単館公開になっているのは作品の地味さが故だと思いますが、見応えは十分な作品に仕上がっていると思います。

次回レビュー予定は、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」です。

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