『ヤング・アダルト・ニューヨーク』:若者ぶってしまう”痛い大人たち”を描いた作品。もう少し描き方に工夫が欲しい。。

ヤング・アダルト・ニューヨーク

「ヤング・アダルト・ニューヨーク」を観ました。

評価:★★

自らの作品に行き詰まりを感じるドキュメンタリー監督のジョシュ。彼の妻のコーネリアも、偉大な映画監督である父のプロデュースばかりでキャリアとしての限界も感じていた。そんなとき、ジョシュは非常勤講師を行っていたアートスクールに聴講に来ていたジェイミーと知り合う。彼と、彼の妻ダービーは普通の常識に縛られない20代のカップルだった。彼らと知り合い様々な刺激を受けるジョシュとコーネリア。若い彼らの刺激をもとに、再び生活を彩っていこうと奮闘するのだが。。「イカとクジラ」、「フランシス・ハ」などの意欲作を送り続ける、ノア・バームバック監督が世代の異なる2組の交流とずれを活写したコメディとなっています。

世の中には、見ていて”痛いな”と思う大人たちが存在します。年齢がかなりいっているのに、年に見合わない若い子ぶった趣味なり、格好なりを施行し、周りに痛さ爆発さを撒き散らす人たち。無論、若い子の趣味であっても、ダンディに身のこなしをしてしまうカッコいい大人もいることはいるので、若い子ぶるのが悪いのではなく、如何に自分に合った身の丈に合うことをやっていくかということに尽きるんじゃないかと思っています。幸いなことに、今まで僕の周りにはそうした”痛い大人”に会ったことはなく、身の丈にあったカッコいいことをしている人ばかりなので、僕は素直に見習いたいなといつも感じています(笑)。

本作は、ジョシュとコーネリアがそうした”痛い大人”になってしまうというお話。なぜ、彼らはそうした行動をとってしまうかというと、それは彼らの仕事が行き詰まって、彼らの生活にもいい流れが回ってこないことに尽きる。これが子どもでもいたら、子どもに全精力をつぎ込むことでいい流れが来るかもしれないけど、子どもを持ち、子育てに奔走する同年代の周りの友人のダサさを見ても、子どもが欲しいとも思えない。それでも今のマンネリ生活から抜け出したい、、、結局はこれはワガママに過ぎないのではないかと思います。生活の中に悪い流れが来ることって、日常生活をしっかり送っていても、どうしても来るもの。そうしたときに自分自身が仕事なり、趣味なりで気分を一新したり、家族や友人の支えで助けられたりするものですが、ムンムンと自分自身で抱え込むと負のスパイラルから抜け出せない。この気持ちはわかります。それを変えてくれそうな、ジェイミーとダービーのカップルの刺激的な生活は彼らにとっては麻薬そのもの。でも、その麻薬も”痛い姿”で自分たちに返ってくるのです。

リズム感のいい作品ではありますが、描くネタがどうもその辺りに転がっていそうな事柄で、作品の裏にあるドンデン返しネタも何か上手く弾けない。。「イカとクジラ」では日常生活にありそうなハマりネタを上手く散りばめ、「フランシス・ハ」では逆に映像での疾走感が気持ち良い作品ではありましたが、本作は分かりきったネタをこねくり回し過ぎている感があります。上手く弾ける部分が1つでもあれば、アレン映画のようなハイセンス感を感じる作品にもなりそうだっただけに、少し残念な作品でした。

次回レビュー予定は、「シークレット・アイズ」です。

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