『ウォークラフト』:LOTRの成功があったからこそ成立している、B級ファンタジー映画の楽しさ!

ウォークラフト

「ウォークラフト」を観ました。

評価:★★★

世界的な人気を博すオンラインゲームを原作にしたSFファンタジー。剣と魔法の世界アゼロス。長く、平和が続いていた、この国に恐るべき種族オークたちの侵略の魔の手が迫っていた。彼らは滅びゆく故郷を後にし、豊かな国アゼロスに侵攻しようとしていたのだ。人間はオークたちの侵略の前に、守護者となる魔法使いの手を借り、自らの祖国を死守する決断をする。一方、侵略を決めたオークたちの中にも、自らの種族の決断に疑問符をもつ者もいた。。監督は、「ミッション:8ミニッツ」のダンカン・ジョーンズ。

「ハリー・ポッター」シリーズや、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの成功、そしてゲームの分野でもファンタジーの世界観というのに浸る人も多い日本人にとって、人間、魔法使い、オーク、ドワーフなどのファンタジーの構成というのはなんとなく理解できるレベルになってきているのかと思います。僕も、本作の元ネタとなったオンラインゲーム版のストーリーラインも、世界観も全く知りませんが、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」などの作品を何回も見て、原作を読み込んでいる身としては、結構楽しめる作品になっていました。上映時間2時間の中で結構いろんなことが起きるのですが、てんこ盛りという印象は全くせず、それぞれの物語も結構肉厚。十数年前に同じゲームを原作にした「ダンジョン&ドラゴン」という映画がありましたが、すごく薄っぺらな印象だったのに対し、ファンタジー映画のここ数年の台頭によって、こうしたB級ファンタジーも作品水準を(作る側も、観る側も)すごく高くしたなと感心させられます。

とはいいつつも、本作はいろんな登場人物が出てくるので、「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」のときのように、1つ1つのキャラクターに思い入れができるほどの余裕がないのも事実。オマケに、オークたちはほぼフルCGで作られているので、迫力はあるものの、人工物という感じがどうしても拭えないんですよね。しかし、そうした安っぽくなりそうなところを、本作はストーリーを骨太にすることで作品としては見応え充分にしている感があります。守護者となる魔法使いに忍び寄る魔の手、家族や自分たちの種族に心を配りながらも信念を貫こうとしたオーク、村々が焼き払われながら自らの命を賭しても戦いに出る国王、、短い各ストーリーラインの中で、こうした血湧き熱きお話を束ねていくことで、お話全体の幹がどんどん太くなっていく。上映時間の枠の中で、描ききれず消化不良になっている部分もなくはないですが、これだけ力感を感じるのはなかなかだと思います。

次回レビュー予定は、「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」です。

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