「森山中教習所」を観ました。
評価:★★★☆
真造圭伍の同名コミックを野村周平、賀来賢人の人気若手俳優2人のW主演で映画化した作品。偶然同じ非公認教習所に通うことになったふつうの大学生・清高とヤクザの組員・轟木。実は、高校の同級生でもある二人は、クセ者ばかりが集まる教習所で一風変わったひと夏を過ごすことになる。監督は「ソフトボーイ」、「海のふた」で知られる豊島圭介。
この映画を観て、まず思い起こさせてくれたのは免許を取得するために通っていた、自動車学校時代ですかね。合宿とか、車校とか、あるいは自ら独学で取得された方もいろいろといると思いますが、僕は高校3年で取得できるようになった春から夏にかけて、地元の学校に通っていました。地元にあったということもあって、同じ学校の面子(メンツ)だけじゃなくて、久しく会っていなかった小中学校のメンバーに急に会ったりして、ちょうど休み時間とか、次の教習までの待ち時間とか、プチ同窓会になったのを覚えています。教習官の人も、一部ですが近所の知っているオッサンとかもいて、こっ恥ずかしいというか、懐かしい想いになったのを覚えています。学校とかとは違って、違う時間の流れがそこにあった。僕にとっての、教習所とはそういうノスタルジーを誘うような不思議な空間だったと今思い返すと、そういう感じを受けます。
という想いを巡らせたというくらい、免許をとった人なら、誰しも感じるような夏休みのような不思議な時間が本作にも流れています。きっと大人になってから教習所に通うことになった人でも、久々に教習本と筆記用具をもって、テストを受けたり、講義を受けたりしている時間は、それぞれの学校時代を思い出すような時間だったと思うし、合宿で取った人も、田舎の不思議な雰囲気にゆったりした時間の空気を吸ったことだろうと思います。映画の中盤に、野村周平演じる佐藤が、いろいろあって教習所に泊まってしまうシーンがあるのですが、ここの空気感なんて、小学校の夏休みに学校に潜り込んだときの様。免許を取得するという実務的な目的以外に、教習所に集うということ自体が、大人たちによる夏休みなのではないかと思えてきます。そうして免許を取得していく、佐藤と轟木。相容れないと思えれた2人に不思議と自然な結びつきと、そして教習所での思い出がいい形で過ぎ去っていくラストもすごく味わい深い。教習所という誰しも(免許を取得した人限定ですが、、)集った場所ですら、人生の交差点(クロスポイント)になっているということ。そして、そこには二度とは戻れない哀愁さえも同居している、おかしな話だけど、誰しも納得する素敵な味わいも感じる作品です。
次回レビュー予定は、「ウォークラフト」です。