『高台家の人々』:冒険しているようでしていない堅実さが、映画の面白みを半減している。。

高台家の人々

「高台家の人々」を観ました。

評価:★★

森本梢子原作の同名コミックを、「映画 謎解きはディナーのあとで」の土方政人監督が映画化した作品。僕は予告編を観た段階で、この冴えないOL・木絵のバカバカしい妄想劇をしてしまうという設定に、何かしら自分と共感してしまうところを覚えてしまいました。なにせ今はめっきり減ったものの、小学生くらいまでは僕も通学路をよくいろんなことを妄想しながら帰った人間。頭の中でいろんなことを想像してしまうという癖は、多分今もいい面も悪い面も残していると思います(笑。そうした自分に近い癖をもつ主人公をどう転がしていくかが、僕にとっては本作の見ものでした。

原作コミックは未読ながら、映画館でこの原作の第一話だけ、チラシ風に配布されていたものを読んだのですが、確かに原作コミックは面白い。そう感じながらも、どこか本作を映像化することは少し難しいかなと思ったのも事実。1人の主人公の妄想自体は映像化することがデキると思うのですが、それが現実のドラマとあまりにかけ離れた空想劇なので、コミック上では同じトーンで成立していても、実写となると、その空想部分は浮きはしないかと思ったのです。しかし、そんな心配は稀有なことでした。。というより、原作ではあれほど妄想と現実とをミックスして描いているのに、この映画版は面白い部分である妄想部分が思ったほど描かれないのです。量が少ないので、作品のアンバランス感はないものの、映画としての面白みも半減している気がします。これは実に勿体無い。。

とはいいつつも、全体にコミカルな印象を残したまま作品を進めているのは大したもの。主人公・木絵もぶっとんだキャラクターとしてではなく、どこにでもいそうな1人のOLという等身大な形を出しているので共感はしやすいと思います。でも、展開的には思った形で進んでしまうので、破綻はないものの、少し冒険も少ないので、予告編で感じられるような面白さを期待すると裏切られるような気がします。

次回レビュー予定は、「団地」です。

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