『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起』:この後のガンダムシリーズに弾みをつける、重要かつドラマチックな良作!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」を観ました。

評価:★★★☆

TVアニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン・アニメーションディレクターを務めた安彦良和氏による同名コミックを、4部構成でアニメ化したシリーズ作品の第3弾。前作では少年から青年と成長していく中で、ザビ家との闘争から身柄を転々と余儀なくされていく、シャアとセイラの物語でしたが、本作では青年に育ったシャアが、敵の懐に入り込み、ジオン軍の青年兵士として本格的に成長していく過程を描いていきます。

前作の第2弾では、セイラが叫ぶ「キャスバル兄さん」の大絶叫しか頭に残らない(ファンの人、すいません)残念な形になっていましたが、本作は、シャアが本格的にジオン軍の青年兵士としてのし上がっていくさまが描かれていきます。原作コミックのほうでは、まるで昭和初期の青年将校たちが起こした反乱のような古臭い決起の形にしか読めなかったのですが、この映画版では、ジオンが起こした反乱という色合いはどこか弱くて、シャアが計画的に戦争を起こさせようとする冷淡な様が強調され、それが軍の内乱というきな臭さを消しているように思います。逆に、後々にもシャアに手球に取られるザビ家の御曹司ガルマの数奇な運命が、序章である本作にもプンプンと漂わせていることが、この後長きに渡る戦争大河ドラマへの礎となっていていい味となっている。ガンダムのパイロットとなる少年アムロの物語も合流してきて、いよいよ「ガンダム」に向かう”THE ORIGIN”へのクライマックスへ加速していく形になっていくのです。

原作コミックとしては話の流れは大筋合っていますが、唯一、シャアの象徴ともなっていくゴーグルの製作者のキャラクターが違うのが、個人的にはちょっとどうかな、、と思ってしまいました。シャアとキャスバルをつなぐ重要な人物には相違ないですが、コミックでは名もない一兵卒としているところに、シャアが羽ばたいていく一種のきっかけみたくなっているので、ドラマチックさが増したと思うのですが。。という、個人的な好みの問題はあるものの、本作でようやくガンダム・レジェンドの布石になる良作に仕上がっていると思います。次回の最終作も見逃せません!

次回レビュー予定は、「世界から猫が消えたなら」です。

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