『ヘイル、シーザー!』:お話自体も楽しいが、どこかノスタルジックな雰囲気を感じる作品!

ヘイル、シーザー!

「ヘイル、シーザー!」を観ました。

評価:★★★

1950年代のハリウッドを舞台に、最近はプロデュース業が中心となっている、コーエン兄弟監督が撮り上げたサスペンス・コメディー。史上空前のスペクタクル超大作「ヘイル、シーザー!」の撮影中、主演俳優ウィットロックの誘拐事件が発生する。その事件に絡み、ハリウッドの様々な人物の人間ドラマが動いていく。。主演のウィットロックを演じるのは、ジョージ・クルーニー。その他にもスカーレット・ヨハンソン、ジョシュ・ブローリンなどの一流俳優の軽妙な演技を見ることができます。

1950年代というと、ハリウッド映画の全盛期。とはいいつつも、VFXの技術がなかった時代のハリウッド。超大作作品には今以上の人や機材を投入し、スタジオセットも大掛かりなものになり、興業に合わせて、複数のスタジオで何本もの映画が併行して撮影されていた。今でも1本の映画を作るのは多くの人間が関わっていますが、スタジオで撮られるショットは限られるし、それこそ、音楽やVFXなどは撮影場所から遠く離れたところで作られたりもする。しかし、この時代は役者も、裏方も、ハリウッドという1箇所に集約した仕事をしていたことが分かります。それこそ、映画が一大産業として、そして、ハリウッドが黄金色に輝くといってもよい、絶頂期を迎えた時代といっても過言ではないでしょう。

そんなハリウッドの古き良き時代で、手作り感がしっかりと伝わってくるコーエン兄弟監督の持ち味が十分に活きた作品になっています。演じる役者陣もさすが絶妙というか、それぞれの役柄を楽しんで演じているところが何とも楽しい。捉えられたウィットロックが犯人たちと親身に話し込んでしまったり、チャニング・テイタム演じるミュージカルスターの、まさにミュージカルで楽しさ発散しているのもいい。各映画の撮影場面で、裏方の作りこみ方を含めて、1950年代の映画のつくり方にすごく哀愁を感じたりもしてしまいます。「オー! ブラザー」でもそうでしたが、コーエン兄弟のこうしたノスタルジックな風潮は嫌いじゃないです。ぶつぶつといいながら、ジョシュ・ブローリン演じるエディが自分の仕事に徹する姿も何ともいい。こうした姿こそ、仕事のプロフェッショナルさを感じるところなんですよね。

次回レビュー予定は、「心霊ドクターと消された記憶」です。

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