『ビューティー・インサイド』:アイディアも奇抜だし、映像はとっても綺麗だけど、魂が伝わってこない映画。。

ビューティー・インサイド

「ビューティー・インサイド」を観ました。

評価:★★

高校生となったとある日から、毎朝起きると男女・年齢・国籍問わず、違う人物になってしまう青年が、一人の女性に恋したことから始まるラブストーリー。先日観た「ロブスター」はカップル成立しないと強制的に動物に変えられてしまうという不条理な世界を描いていましたが、本作では毎日起きると違う人になっているという不条理な運命を背負った一人の青年の物語になっています。「ロブスター」と違って、世界まるごと変わってしまうのではなく、一人の人物が変わってしまう(物語上は、正確にはそうではないのですが、、笑)ので、これは周りからおかしいこととして捉えられて物語が進んでいきます。もともとはとあるCMを原案にしているそうで、監督もCM界で活躍してきたぺク監督の劇場デビュー作となっています。

CM界出身の監督ということもあってか、すごく綺麗な映像トーンで映画が進んでいきます。まるでCMみたいなような映画というんでしょうか。よく言えば、お洒落。悪く言っちゃうと、綺麗すぎて物語のドロドロとした部分が伝わってこない残念な出来になっています。よくIKEAのような家具カタログで、インテリアとしては綺麗でまとまっているけど、生活臭が全然しないという、あの感じに似ています。それを意識しているのか、していないのか分かりませんが、主人公も家具職人で、物語も家具つながりで進んでいく(笑)。これはある意味、狙っている映画としか思えません。。

ただ、様々な入れ替わってしまう主人公ウジンを演じている主役が不在という設定が何とも奇抜ですよね。入れ替わるので当たり前といえばそうですが、主役がエキストラも含めて百人くらい?、演技をした主要キャストだけで21人という数。それで一人のウジンというキャラクター像を作っていくのですから、シナリオ、演出、役者を含めて、相当な苦労があったと思います。それを意図も簡単にサラッと魅せてしまうことが案外凄いことだと思います。その力量を、映画の魂(ソウル)と連動して、ガツンと繰る物語が欲しいのですが、そこはとても曖昧。ボンヤリとした形でラブドラマが進んでしまうのがもったいないと感じた作品でした。

次回レビュー予定は、「ミラクル・ニール」です。

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