『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』:人生はいつまでも続く終わりなき旅。派手さはないが、前作ファンは必見!

マリーゴールドホテル 幸せへの第二章

「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」を観ました。

評価:★★★

インドへ来た引退した英国人シニアたち5人に起こる悲喜こもごもを、彼らが宿泊したホテルを舞台にした2011年公開の「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」。本作は、その後の彼らの様子を描いた続編となっています。ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、マギー・スミスなどの前作の役者陣は同じキャラクターでそのまま登場し、本作からはリチャード・ギアなどが新しいキャラクターがそこに加わり、映画としての華となっています。監督は前作もメガホンを取った「恋に落ちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。

続編ものでまず難しいのは、前作と同じキャラクターが同じ役者で登場するかというところ。本作は上記のようにそれをクリアした後に、新キャラクターの登場以上に、お話として続きをどう展開していくかというところに注目をしていました。というのも、前作では各キャラクターがイギリスからインドに集結し、新しい生活の中で如何に適応しながら、ホテルの中でのコミュニティを作っていくかというところに面白さのポイントがあったので、本作は、そのお話が既に完成された上で新しい物語を紡いでいかないといけないからです。日本でもシニアライフで、新しい生き方をどのようにしていこうか模索していく方もいるかもしれませんが、いろいろ考えているうちに時は過ぎ去っていく。よく「一流大学に入りたい」とか、「こんな職業に就いてみたい」など、人生のある一点を目標にして、実際にその夢がかなってしまうと、それ以降の日々が空しく過ぎ去るだけという”燃え尽き症候群”にかかる人っていると思うんですが、多くの人は案外この毎日という時は万人に共通に流れていくことを知っているようで、意識できていないと思うのです。大人になってからの夢の実現の方法は、こうした夢の一点が過ぎ去った後の現実をどう生きていくか(新しい夢を設定するなども含め)を走りながら見ていけることだと思います。

と話が脱線したところで、本作はそうした各人が新しい生活に入った後、毎日をただ漫然と過ぎ去るだけで生きるのではなく、新しいことに意欲的に挑戦している各キャラクターたちの姿にホロッとさせられるのです。イヴリンは自分の才能を活かし、高齢ながらも新しい仕事を始めていくし、ミュリエルは若き支配人ソニーを支えながら皆も見守る。ダグラスは恋心に人生をやきもきさせながら、独特のキャラクターで周囲を和ませるし、セリアは逆に新しい恋人探しに夢中。。それぞれが自分の人生に満足することなく、一歩一歩前進しながら生きていく。その中でリチャード・ギア演じるガイなどの新しいキャラクターが物語に絡んでくる。正直、前作のような派手さはないものの、インドの日常の中で、それぞれの生き様がはっきりと伝わってきて、いいドラマが展開されていくのです。

その象徴になるのが、ソニーの結婚。シニア陣のドラマが並行的に展開されながら、物語の中央にソニーのことが集約され、それをラストに持ってくる展開が非常にまとまりのある形に仕立てていると感じました。それに、このソニーの結婚が今まで見た映画の中の結婚式シーンでは一番派手で豪華。インドの結婚式は凄いとは聞きましたが、夜行われる披露宴シーンは豪快そのもの。これはスクリーン映えがする場面になっています。そうした大団円を迎えながら、ラストはまた新しい生活へとそれぞれが散らばっていくのも何とも哀愁ある終わり方。前作を面白いと感じられた方は、本作は必見だと思います。

次回レビュー予定は、「バットマン VS スーパーマン」です。

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