『不都合な真実2 放置された地球』:環境問題のシンボルとなった元米副大統領の真実と変えるべき未来。異常気象の危険にさらされている日本人だからこそ、やれることをやらねばと思わされる!

不都合な真実2

「不都合な真実2 放置された地球」を観ました。

評価:★★★★★

元アメリカ副大統領アル・ゴアが環境問題を訴え第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞他を獲得した「不都合な真実」の続編。地球温暖化の影響により氷河融解、超巨大嵐、豪雨、洪水、大気汚染など、様々な異常気象が次々に発生している昨今。そんな現状に警鐘を鳴らし続け2007年にノーベル平和賞を受賞した元アメリカ副大統領アル・ゴアの闘いと、パリ協定実現に向け奔走した人々の情熱を取り上げる。監督は「南の島の大統領――沈みゆくモルディヴ」でプロデューサーと監督として組んだボニー・コーエンとジョン・シェンク。

地球の温暖化について声高に訴え、2006年公開の映画「不都合な真実」では地球温暖化がもたらす、様々な事柄に関して警鐘を鳴らしてきたアル・ゴア元米副大統領。日本だと、オバマ政権以前の民主党の顔であった彼の存在は遠い昔のように思えてきますが、昨年のパリ協定締結に向けて奔走をしてきた様も描かれる本作を観ると、第一線の政治家という立場ではないものの、環境事業家というロビイスト的な一面で様々な事柄に挑戦しているのが分かります。前作は、確かに地球環境問題に警笛は鳴らしたものの、印象に残っているのは温暖化によって北極の氷が解け、それによって北極グマの生息域が危険に晒されるなど、その前後にあった動物ドキュメンタリーと混在したイメージになってしまい、どうしても温暖化そのものがやはり私たちの身近な問題になかった。しかし、日本でもゲリラ豪雨により北関東や北九州で発生した甚大な洪水被害など、それこそ小さい頃には経験しなかったような気象現象に遭遇しているのも確か。だからこそ、本作が放つメッセージに強く共感してしまうのです。

温暖化というと、地球が暑くなるだけでしょうとか、氷河期と間氷期をダイナミックに繰り返す地球そのものの自然循環を唱える人もいますが、産業革命以降のここ200年で、人類が劇的に地球の循環システムを変えている(もしくは影響している)ことは事実だと思います。そもそも平均気温が高くなるという問題だけでなく、極地から赤道付近までダイナミックに動く、この”水”の循環バランスが崩れているのに大きな問題があるのです。温暖化で極地の永久凍土がなくなることで、海水面が上昇すると共に、気温が高い地域ではこの豊富になった水によって、急速な爆弾低気圧が発生するようになり、大雨が洪水被害を多発させる原因になっている。それは夏に限らず、気温が低くなる冬でも同様で、一旦雪が降り始めると延々と積もる大雪になる傾向が強い。電気工学を知っている人なら、電気を貯めるコンデンサーが回路では重要な役割を果たすのと同様に、地球にとっても、極地地域の永久凍土というのは、こうした水の循環バランスを保つための重要な役割を担っていたことを、私たちはようやく昨今起こり始めている異常気象によって知っているのが現実なのです。

自分自身が熱く煮立っていることは、何かしらショッキングな出来事がないと分からない”茹でガエル現象”は、日本人にとどまらず、人類全体の性みたいなところなのですが、だからこそ日常生活でおかしさを知った私たちだからこそ、少しづつ世の中をよくしていかないと思います。警鐘のみを鳴らしていた印象が強い前作と違い、本作ではゴア自身が自らの半生を振り返りながらも、自身がシンボリックになるだけにとどまらず、次世代の事業家・リーダーを育成しながら、自らの声を持たせる術を広く伝えていることや、私たち自身の生活の中で何ができるかを同じ目線が語っていることがとても好印象に映ります。多くの自然災害を受けながらも社会として支えながら生きる術を身に着け、原発問題など過去の失敗や経験から、何を未来へ変えていくのか、、私たち日本人でもできることが多くありそうに思えた鑑賞でした。

次回レビュー予定は、「ジャスティス・リーグ」です。

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