『ギフテッド』:シャレオツな感じで作られるファミリードラマ。対立する叔父と祖母の構図を、もう少し公平に扱ったほうが話に深みが出たと思う。。

ギフテッド

「ギフテッド」を観ました。

評価:★★★

幼くして母を亡くした7歳の少女メアリー。亡き母親の希望で、叔父のフランクとフロリダの小さな港町で、片目の猫フレッドとともにささやかな生活を送っていた。その小さな幸せは、メアリーの天才的な数学の才能が発揮されるとともに揺らぎ始める。メアリーの特別な学校での待遇を拒むフランクの前に、母方の祖母エブリンが現れ、メアリーに英才教育を施すために、フランクと引き離そうとする。大好きなフランクとフレッドとの生活は捨てきれないが、自分の持つ数学的な能力も伸ばしたいと感じているメアリー。2人の穏やかな関係をもが徐々に崩れ始めていくのだが。。「(500)日のサマー」のマーク・ウェブが手掛けたファミリードラマ。

「(500)日のサマー」では、よくある不死の病のお涙モノを、どこかのカフェ調な今どきの軽いオシャレなタッチで全く異なる爽やかなラブ・コメディに仕上げたことで注目されたウェブ監督。今回もよくある天才である故に、家族から逆に引き離される典型ファミリードラマをウェブ監督らしい、どこかのアンティーク雑貨店のような現代的なタッチで映像化をした作品に仕立てています。言葉足らずで申し訳ないのですが、こうした”今風”な作品にするのも1つの腕で、京都でも汚かった裏通りの町家をちょこっと改装してお洒落なカフェやビアスタンドにすることで、その地域が活性化するところなんてゴマンとあるくらいです。ただ、こうしたハイセンス化した作調が物語自体も変えた「(500)日〜」と違って、本作は、作風こそイケているものの、お話自体はすごくありふれたものじゃないかなーとちと感じるのです。

その証拠に、本作を観た直後はなんか爽やかないい作品を観れたという感傷にひたれたものの、鑑賞後少し間が経ってしまうと、途端に作品の印象があまり記憶に残らないのが正直なところかなと思います。メアリーを演じたマッケナ・グレイスの子役とは思えない演技の幅を感じるところや、不器用そうに見えながらも、実は哲学科の教師でもあった朴訥なフランクを演じるクリス・エヴァンスなど、心地よい映像と音楽とともに覚えている要素はあるものの、物語として強烈な何かは残せていない。唯一、メアリーの天才的な数学の才能は、謎多き母の死に隠されているというところはミステリアスにはなっているものの、所詮はフランクとエブリンによるメアリーの取り合いに、才能を発揮しながらも愛するフランクとは離れられないメアリーという構図も少し典型的過ぎるように思えるのです。

愛する姪だからこそ、彼女の今と未来の幸せをどうするべきなのか? フランクとエブリンのそれぞれが示す方向が双方とも間違っていないことを、もう少ししっかりと示せれれば、作品としては違った味が出たようにも思います。それがないので、最後までエブリンが悪いやつにしか映らないのが残念なところです。

次回レビュー予定は、「不都合な真実2 放置された地球」です。

コメントを残す