『斉木楠雄のΨ難(さいなん)』:ナンセンスギャグのオンパレードに抱腹絶倒なサイキックムービー!ユルユル話に好き嫌いは分かれるが、これだけ壮絶なボケのオンパレードは必見かも!?

斉木楠雄のΨ難

「斉木楠雄のΨ難(さいなん)」を観ました。

評価:★★★☆

生まれながらにして、テレパシーやサイコキネシス、透視、テレポートなどの多彩な超能力を有している斉木楠雄。さぞかし素晴らしい日常を送っていると想像されている裏で、実は彼自身、生まれながらのこの能力に嫌気が指していた。世間に目立つことがないように、ことさら普通を装いながら学校生活を送る楠雄だったが、通っている高校の文化祭を迎え、その能力を発揮せざるを得ない場面に次々と遭遇していく。同級生たちが呼ぶ災難に、楠雄自身が次々に巻き込まれ、遂には地球滅亡の危機にまで迫ってしまうのだが。。多彩な超能力を持つ高校生・斉木楠雄と個性の強い同級生たちが騒動を繰り広げる異色ギャグ漫画を、「銀魂」の福田雄一監督が映画化した作品。

福田監督作品としては、今年の初夏に公開された「銀魂」以来の鑑賞になりましたが、「銀魂」の感想文で指摘させていただいた福田監督の持ち味的な部分が、「銀魂」とは違い、十二分に活かされたのが本作だと思います。この監督さんが上手いのは、やはり本作のようなナンセンスギャグの詰め合わせのユルユル話なのです。この作品は一応楠雄が通う高校の文化祭の一日を追っているのですが、何か巨大な悪があるとか、乗り越えないといけない難題があるとかが特にないのです。だからこそ、各場面場面でのユルさ100%のギャグがとっても冴えるのです。実はこういう話の構成は、映画で言えば「となりの山田くん」だったり、TVアニメでいったら「サザエさん」のようなもの。今回の文化祭のように、底辺には確かに1つの話の筋があるのですが、各エピソードにはつながりとか脈絡とかは特になく、山田くんやサザエさん一家、本作だったら、楠雄と周りの濃い同級生を登場させれば、それだけで物語の演出としては完結してしまう。あとは楠雄と同級生たちのキャラクター同士の掛け合いでとにかく笑える。「銀魂」のような何か1つのゴールを目指すような物語は、福田監督には合わないのです。

その意味で、今までは学園恋愛ものなどで清純派のイメージが強い山崎賢人が、超能力者・斉木楠雄をとことんクールに演じているのがいい。笑いでいえば、彼は作品中でずっとボケているのです。まぁ、福田監督作であまりツッコミの人はいないのと同様で、ボケである楠雄が、更に濃い同級生たちのボケに、ツッコミに回らざるを得ないところも、また面白いのです。半ケツを見せる海藤役の吉沢亮や、元ツッパリの窪谷須役の賀来賢人もいいんですが、本作の当たり役は勘違い女子・照橋を演じた橋本環奈の魅力たっぷりなボケ演技でしょう。変顔に、制服からムンムンと漂うB級っぽいエロさもとことん披露し、役柄的な可愛さをも壊すような怪演を魅せていると思います。高校生には見えない蝶野役のムロツヨシもよかったけど、原作で僕が一番好きなキャラである燃堂役の新井浩文はちょっとイマイチだったかな。。

予告編で見て取れるような、いい意味での造形の安っぽさと話のユルさには好き嫌いが分かれるかもしれないですが、ツボにハマる人には最高な作品だと思います。劇場内では笑いが少なかったけど、僕はゲラゲラ笑ってみてました。最近のスピードの早い漫才よりも、一昔前の緩い漫談話が好きな人にはオススメします(笑)。

次回レビュー予定は、「ポンチョに夜明けの風をはらませて」です。

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