『ひるね姫 知らないワタシの世界』:現実と夢がリンクする不可解ミステリー。余分な要素をカットして、近未来SFミステリーにすれば面白かったのに。。

ひるね姫

「ひるね姫 知らないワタシの世界」を観ました。

評価:★★

岡山県倉敷市。父と二人暮らしをしている高校生森川ココネは、所構わず居眠りしてしまう癖があった。しかし、最近は同じ夢ばかり見ていた。家族のことや自分の進路も含め、考えることはたくさんあるものの、この不思議な夢に悩まされてばかり。現実では、2020年のオリンピックを迎えていたが、父親は近所の車を修理しながら、自動車の改造に精を出してばかり。そんなとき、突然東京からやってきた警視庁の人間に、父が逮捕されてしまう。不可解に思った彼女は父を追い東京に向かううちに、夢と現実がリンクしていることに気付くのだが。。「攻殻機動隊S.A.C.」の神山健治監督によるオリジナルファンタジー。

”ひるね姫”という題名がついているから分からないが、作品を見ている最中も何回かウトウトとしてしまいました。。それほど何でしょう、、作品に面白さが感じられないんですよね。そもそも、作品の意味しているところがあまりよく分からなかった。現実社会で不可解に起きていることとの要因が、夢の世界で暗喩として語られ、それが現実社会の謎を解く鍵となっていくという設定なのですが、これが酷く回りくどいというか、うまく決まっていないように思うのです。前向きに考えると、夢は現実で知った潜在レベルの知識を具象化したものといえるかもしれず、それが本作のストーリーの屋台骨を支えているのですが、科学的な映画でありながら、この設定がすごく非科学的に思えてくるんです。何言っているか分からないと思いますが(笑)、この部分を物語で語るとネタバレになるので、何かを知りたくなった人は是非観てみてください。。

と、要するにミステリーが主軸の物語で、それを解く鍵が夢の世界にあるというところがファンタジーでない本作には合わないということです。僕はそれより、このミステリーを映画の中で語られる様々な科学の力で語ってほしかった。もう、”ひるね姫”というタイトルではなく、SFミステリーでいいんです。”近未来少女ココネ”でもいい。VRや自動運転など、「ドラえもん」ほど未来な技術でもなく(設定は2020年)、エキサイティングな科学ガジェットがたくさん出てくるので、技術屋さんが観ると、それだけでも楽しい。キーとなるココネの両親がエンジニアという設定も、ラストのクレジットもエンジニアが観るとニンマリとできることは請け合いだと思います。”ひるね”とか、”夢”とかの設定を抜きにした、それこそ神山監督の電脳をフル活用した作品にして欲しかったな、、と、その部分だけが残念でなりません。

次回レビュー予定は、「3月のライオン 前編」です。

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