『A.I. love you』:映像作りの工夫と発想力はいいけど、あまりに参考にしている映画の影響が強すぎないか。。

A.I. love you

「A.I.love you」を観ました。

評価:★★

23歳の星野遥。彼女はパティシエになり、自分の店を持つことが夢。その夢を追いかけるために、料理店でバイトをしながら、老舗の洋菓子店に採用応募しながらも不採用を受ける毎日だった。そんな中、彼女に届いた1通のスパムメールらしきものに書かれたいたのは、人工知能A.I.が搭載された会話型のスマートフォンアプリケーションの試用モニターの案内。やけになった彼女はスマートフォンに早速アプリをインストールするが、そこから聞こえてきたのは、男性の声だった。“A.I.”と名付けたアプリと遥の交流が始まるっていくが。。全編をスマートフォンで撮影し、人間の女性と人工知能の恋を描いた異色のラブストーリー。監督はTVドラマ界で活躍され、本作が劇場デビュー作となる宮木正悟。

人工知能がインストールされたスマートフォンと一人の女性との物語というお話ですが、性別は全く逆ながら、同じスマートフォンにインストールされた人工知能との恋物語を描いていた昨年公開の映画「her 世界に1つの彼女」を思い出させるような内容です。もっとも本作に関しては、まずは夢はありながらも、ダメダメな主人公・遥をサポートしていくという形から始まっていきます。この序盤の展開は実に楽しい。人工知能という存在に半信半疑になりながらも、言われた通りにいろんなことを実行していく遥と人工知能とのおかしな掛け合いは漫才を見るような楽しさがあります。絵作りとしても、人工知能から見える映像という変わった視点で物語を展開させ、まるで神から観ているような不思議な視点を、スマートフォンだけの映像で構成しているというのも工夫が感じられるところです。

ところが、この物語は導き手であった人工知能が、「her」と同じく、主人公・遥との恋物語へと発展させていくように仕向けていくことから少しおかしなことになっているように思います。そもそも遥は夢は見ているものの、その夢に対しては何の努力もしていないので、彼女が人工知能に振り回される姿は面白いものの、あまり共感はできないキャラクター。そんな遥が人工知能の助けで夢への道がだんだん開けてしまうのも、努力している面が全く見えないので、何だか都合のいいように恋だけして夢が叶ってしまうという都合のよさだけしか見えないし、しかも、その人工知能との恋に陥ろうとしている、、、と、なぜ? なぜ?と共感できない部分しか出てこないのです。おまけに、あのラストとは、、これもとことん「her」を研究してとのことなんでしょうが、もう少しキャラクター像をしっかりとしないと、ただ真似するだけでは何もならないように思うのですが。。

次回レビュー予定は、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」です。

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