『メカニック ワールドミッション』:前作の設定の面白さが完全に崩壊。普通のステイサム的な映画になっている。。

メカニック ワールドミッション

「メカニック ワールドミッション」を観ました。

評価:★☆

かつて、精密機械のように完璧に任務を遂行する殺し屋がいた。その名はビショップ。彼はクライアントから依頼されたターゲットを、事故を装って、確実に殺すことに美学を見出した腕利きだった。しかし、ある事件をキッカケに暗殺業からは手を洗っていた。ところが兄弟子クレインに無実の女性を人質に取られ、ビショップはやむなく巨大フィクサー3人の始末を引き受けるが、それは成功しても女性ともども消されるミッションだった。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ、オーストラリアのシドニー、タイ、ブルガリアを舞台に、復活した殺し屋ビショップに降りかかる超難問を追う。ジェイソン・ステイサムが精密殺し屋を演じるアクション作の続編。監督は「THE WAVE ウェイヴ」(2008)のデニス・ガンゼル。

アクション・スター、ジェイソン・ステイサムが殺し屋を演じるというと、真っ先に「トランスポーター」を思い出しますが、その他にも亜流も含め、自身が演じる作品はどれも同じ「トランスポーター」色を感じてしまうステイサム。それはかつて、「ロッキー」、「ランボー」のイメージが拭えないシルヴェスタ・スタローンであったり、「ターミネーター」のシュワルツネッガーであったりと、この手のアクション・スターが進んできて、そしてハマっていった系譜と同じとも言えるかもしれません。そんな中、2011年に公開された本作の前作「メカニック」は、ステイサム作品でも異色というか、アクションというより、「007」のジェームズ・ボンド並みにスムーズな殺し屋を演じた変化球作品でした。アクションをできるかぎり抑え、殺しとストーリーの面白さで引っ張った作品の続編というからには期待せずをいられない、、という感じだったのですが。。

と書くと結末が分かってしまったと思いますが、本作は前作のようなスマートさは微塵もなく、いわゆる「トランスポーター」的なステイサムの作品に戻ってしまったといってもいいかもしれません。というのも、話の設定がビショップが手がける殺しが中心というよりは、兄弟子クレインに愛する女性を囚われ、殺しをしなくてはいけなくなったという設定で、初めて”殺し”の場面が登場するので、前作のような面白さがどうしても出てこないのです。女性を救うという物語になると、如何にも「トランスポーター」的に、アクション俳優ステイサムが筋肉隆々にスクリーンでアクションを繰り広げる。それ面白くないわけではないのですが、これじゃ並のアクション映画だな、、という枠をどうしても超えられないのです。

そんなステイサム的な作品でも、ギラリと異色を放ったのが、殺しのターゲット役で登場するトミー・リー・ジョーンズ。日本では、ほのぼのジョージアのCMのイメージが強い彼ですが、久々の悪役をギラギラ感満載に演じています。この演じることを楽しんでいるジョーンズを拝めただけでも、この映画は観る価値があるかもしれません。

次回レビュー予定は、「太陽の蓋」です。

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