『スーサイド・スクワッド』:冒頭こそ凄くカッコよく始まるものの、だんだんと尻すぼみになってくるのは気のせいか。。

スーサイド・スクワッド

「スーサイド・スクワッド」を観ました。

評価:★☆

2Dの字幕版にて。

迫りくる世界崩壊の危機を前に、政府はある決断を下した。バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となったヴィラン(悪役)たちを、減刑と引き換えに自殺に等しい任務を強制する集団スーサイド・スクワッド(自殺部隊)へ入隊させるというものだ。こうして凄腕暗殺者デッドショット、狂気の道化師ハーレイ・クイン、地獄の炎を操る小心者エル・ディアブロ、必殺縄師スリップノット、ブーメラン使いキャプテン・ブーメラン、ウロコに覆われた怪力男キラー・クロックに、彼らをコントロールすべく、軍人リック・フラッグ、唯我独尊を貫く女侍カタナが加わった強烈な個性を発するの最狂チームが誕生する。魔女エンチャントレスの野望に対抗すべく、行動を開始したのだが。。1930年代に始まるアメコミの元祖DCコミックスの原作を映画化。監督・脚本は、「フューリー」のデヴィッド・エアー。

「アベンジャーズ」などのマーヴェル・コミックヒーローもの総結集のシリーズが作られた近年ですが、今年の「バッドマンvsスーパーマン」から始まったのは、マーヴェルの対抗軸となっているDCコミックのレジェンドシリーズ。2013年に公開された「マン・オブ・スティール」から数えると、第3作目となる今回のDCコミックシリーズに登場するのは、かつてバットマンたちに捕えられた悪役たちが総登場し、地球侵略を企む魔女の野望に抗していくという物語。ただ、いずれ公開される「ワンダー・ウーマン」にも同じ危惧を抱くのですが、よほどのアメコミファンでない限り、今作で出て来る悪役で、主役で、かつヒーローになるスクワッドの面々たちは知らない面子ばかり。何か今作に合流する準備作もないまま、いきなり悪役たちが総登場してくるので、DCコミックを慣れ親しんでいないであろう多くの日本人には戸惑いでしかない。もちろん、冒頭でそれぞれのキャラクターの背景画や矢継ぎ早に語られるのですが、ここでノレないと作品に入っていくキッカケを失うような気がします。

ただ、この冒頭の紹介シーンはすこぶるカッコいいので、各キャラクターの登場と、スクワッドが結成されるまでの崩壊していくDCコミックのダークな世界観、そして時折登場するバッドマンにワクワク感を想起させてもらえます。ですが、肝心のエンチャントレスの野望に対し、スクワッドのメンバーがチームとして動いていくと、極端に物語が普通になってしまうのです。もともと彼らはヒーローにならない、悪役キャラクターのはず。いくら逃亡したら命が終わるというギリギリの設定で動いているとはいえ、あっさりといいヒーローになってしまうのが、どうしても納得がいかない。俗に言うと、ノレない物語になってしまうのです。ラストも少しベタな人情劇になってしまうのも、冒頭のノリノリ感から思うと、急激なほどの急ブレーキ感が否めません。かじろうてジャット・レト演じるジョーカーが物語の外から絡んでいくアウトサイダー的な立ち位置から、悪の顔の底に何か分からない感情を秘めている役柄となっているのは素晴らしいですが、そのジョーカーに引っ張られるハーレイ・クイン以外のスクワッドたちの物語がどうも浮き上がってこないのです。器は凄いのに、中身はすごい残念感が漂う作品になってしまっているように思います。

次回レビュー予定は、「エミアビのはじまりとはじまり」です。

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