『ひつじのショーン スペシャル いたずらラマがやってきた!』:ラマの精巧なモデリングも見どころ! 単純な物語ながら、シンプルに楽しい作品たち!

ひつじのショーン

「ひつじのショーン スペシャル いたずらラマがやってきた!」を観ました。

評価:★★★

「ウォレスとグルミット」シリーズで知られるイギリスのクレイアニメスタジオ、アードマンアニメーションズが手がける、いたずら羊のショーンを主人公にしたクレイアニメ作品「ひつじのショーン」。紙粘土で作ったモデルを一コマ一コマ動かす、伝統的なクレイアニメなんですが、温故知新というか、どこか新しいアニメの表現方法をいつも提案してくれるアードマンの姿勢というのが見え、観ていて単純に面白いし、ショーンを始めとした動物たちと、ちょっぴりオトボケで人間らしい(笑)人間の牧場主とのほのぼのとした絆も作品中に垣間見え、心がほっこりとなるのです。本作はテレビの大ヒットを受け、テレビシリーズの中から厳選された5作品の短編と、スペシャル版として海外では放送された中編を組み合わせた劇場版となっています。

といいながら、僕が「ひつじのショーン」と出会ったのは、劇場公開作となった「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」が初めて。NHKでテレビシリーズが公開されていたことは知らなかったので、小さいお子さんが一緒にいる中での鑑賞でしたが、そうした子どもたちも喚かずに親御さんとともにスクリーンに釘付けになっていたのが印象的でした。「ひつじのショーン」の面白さというのは台詞がまったくなく、アニメとしてはショーンを始めとした動物たちの所作と効果音、そしてバックに流れる音楽だけで進行するので、言葉が分からない2、3歳くらいの子どもでも、ストーリーを追わずとも楽しめる。もちろん、それくらいの子どもたちには「アンパンマン」であったり、「機関車トーマス」であったりとか、幼児向けのアニメはあったりするのですが、無駄に台詞がある物語よは、台詞によるストーリーを想定しなければいけないので飽きるし、お話によってはつまらなくなったりもする。「ひつじのショーン」の凄さは、各シークエンスにも面白さがあるし、それが連続的につながって1つのドラマになっても面白い。表現が古くて申し訳ないのですが、ドリフのコントのように、1つの場面としての笑いもあるし、コント全体としても面白さが連なってくる。そんなイメージにも近い表現方法になっているのです。

今回はテレビシリーズ厳選5作品とスペシャルの中編になるので、作品としては劇場版よりこじんまりとしています。1つ1つの作品は確かに面白いのですが、オープニングやクレジットも含めて、全てテレビ版と同じ構成でスクリーンに映されるので、DVDをずっと見ているような間延び感があって少々残念なところ。せめて、それぞれのオープニング、クレジットはカットして、5作品まとめて一気に見せるとか編集の工夫がほしいところです。でも、題名になっているスペシャル版の「いたずらラマがやってきた!」は面白い。ラマの精巧な造形も然ることながら、彼らがそれこそ破天荒に牧場を荒らしていく様は豪傑そのものでした。ショーンも最初はいたずら好きに彼らに便乗するものの、最終的にはラマたちの暴走を止めるべく、知恵を出していく。予定調和的な物語ではありますが、スペシャル版ならではの爽快なドラマを魅せてくれます。

また、劇場版も出して欲しいな。絶対に次もスクリーンで観たいところです。

次回レビュー予定は、「ジェンダー・マリアージュ」です。

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