『劇場版ソードアート・オンライン オーディナリー・スケール』:物語は複雑で舌を巻くが、近未来世界の描写がなかなか興味深い!

劇場版ソードアート・オンライン

「劇場版ソードアート・オンライン オーディナリー・スケール」を観ました。

評価:★★★☆

2022年、世界初のフルダイブ専用デバイス”ナーヴギア”はVR(仮想世界)の世界に無限の可能性をもたらした。しかし、天才プログラマー、茅場晶彦が創造したMMORPG「ソードアート・オンライン」(SAO)は1万人のユーザを、仮想世界の中に閉じ込め、そこでの死は現実世界での死に直接つながるというデス・ゲームを始めたのだった。その悲劇的な事件から4年が経った現在、社会はVRからAR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン”オーグマー”へと時代はシフトしていった。そんな中、SAOを超えたAR型MMORPGである「オーディナリー・スケール」(OS)が爆発的なヒットを記録する。そのOSに参戦したキリトは、ゲームの中のある異変に気付くのだが。。川原礫によるライトノベルが原作のTVアニメ『ソードアート・オンライン』の劇場版。監督は、TV版に続き伊藤智彦が担当しています。

人気TVシリーズの劇場版ということで、公開初日から10代の若者を中心にヒットをしている作品でもありますが、僕はTVシリーズも、原作のノベライズも全く見ずに、しかも、この作品がどれだけ話題になっているかも知らずに(笑)、予告編の印象だけで観てみました。いや、観てみて思ったのが、すごく物語が難解ということ。もちろん、TVシリーズや原作を全く知らないので登場人物のキャラクター像や背景が分からないのは当然なのですが、この物語の複雑さというのはそれを差っ引いたとしても残るものだと思います。まず実世界のそれぞれがいて、VRの世界であるSAOに残しているアバターがいて、その2つに支えられて新しいARの世界観(これが実世界とVRの狭間のような世界になっているので、やや複雑)が混在してくる。おまけに登場人物も結構多く、誰がどういう役回りをしているのか掴むのも結構苦労する感じです。でも、本作が凄いのは、これだけ複雑でありながらも、全く初めて観る人でも理解しやすいような脚本にしていること。「名探偵コナン」シリーズのような前提の前日譚がなくても、これだけすっきりするのはなかなかだと思います。

それに面白いのは、近未来の世界の描写力でしょう。つい先日、PS4のVRが出たばかりで、個人的にも最近GoogleCardboardのVRガジェットを買って、VRの楽しさや奥深さに嵌りそうなので非常に興味深く観ていました。また、ゲームをしていくと、いろいろポイントが溜まって、いろんな商品やサービスと交換できるというポイントシステムや広告のところなども、個人的に新卒の会社で研究していた分野なので、映画とはいえ、ここまで世界観が広がっているのはすごいなー(とお年寄し視点で)と感じました。この世界だと、もう働かなくても、VRゲームさえしていれば生活していけちゃいますね。時代はサービス社会なので、資本を何に投じていくかということを考えたときに、人と人とをつなぐコミュニティなり、個人の生活に即したところで広告を提供することで、人を動かしてサービスにつなげるというところに特化していくのは当たり前になるんですよね。映画でも、「ブレードランナー」とかで多数の情報が溢れる街並みにも表現されていたります。その分、よりよい情報を選ぶのが大変になるんですけどね。。

最後のバトルシーンの迫力も凄いですが、近未来の社会を想像していくだけでも楽しい作品だと思います。

次回レビュー予定は、「バック・イン・タイム」です。

コメントを残す