「ジェイソン・ボーン」を観ました。
評価:★★★☆
CIAによって生み出された暗殺者ジェイソン・ボーンは、記憶を取り戻し世間から姿を消していた。消息を絶ってから何年も経った後、孤独な生活を送っていたボーンのもとに、CIAの元同僚だったニッキーが現れる。彼女はCIAが全世界の情報を監視・捜査する新プログラムが動き出したことと、ボーンに隠された過去の秘密を打ち明ける。過去の記憶の断片を再び集めるために、そして、CIAの新たな陰謀を潰すために、ボーンは再び戦いに身を投じてゆく。。驚異の身体能力を持つ孤高の殺し屋を演じたマット・デイモンの当たり役となった「ボーン」シリーズの新章。監督は「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」のポール・グリーングラス。
ロバート・ラドラムが著したスパイ小説をもとにした、シリーズ1作目の「ボーン・アイデンティティ」が公開されたのは2002年。記憶を亡くした一人の男が、凄腕のスパイであったということを自ら発見していく所作の面白さと、ただのスパイではなく、その裏では人を洗脳し、殺すことに対して躊躇することない殺人マシンプログラム(その1つが、シリーズのキーワードとして度々出てくる”トレッドストーン作戦”)が潜んでいたという陰謀劇が同時並行することに、ダブルの面白さがあった作品。2004年に公開された続編の「ボーン・スプレマシー」、2007年の三作目「ボーン・アルティメイタム」とシリーズを重ねるごとに、陰謀劇を軸にしながら、シリーズごとに迫力を増してくる骨太アクションにも見ものにしてきたシリーズ作でもあります。2012年にスピンオフとなった「ボーン・レガシー」があったものの、マッド・デイモン主演の本流としては、「ボーン・アルティメイタム」以来の9年ぶりとなる作品。もう、過去作がどうだったかも正直詳細を覚えていないのですが、それでも楽しめる作品に仕上がっています。
ボーン自身に降り掛かった過去を解明していくというのは、前三部作で一応終幕を迎えていることもあり、本作では「ボーン〇〇」という形ではなく、「ジェイソン・ボーン」とタイトルを変えていることからも、商流として、ボーンという新しいアクションヒーローを以後のシリーズでは作っていこうという流れを感じます。本作でも、確かに”トレッドストーン作戦”に絡んでくる父親との一件はたしかに出てくるものの、うやむやな形でしっかり描いていないことからも、もうボーン自身のことにはそれほど執着せずに、むしろボーンに関わる陰謀劇やアクションを中心に観てくれ、、というメッセージ性を強く感じるところです。また面白いのは、他のアクション映画には見られない、”ボーン映画”独特のアクションというのが本作にもしっかり見られるところ。ベガスでのカースタントなど派手なところもあるのですが、特に、冒頭のギリシャのシーンを見ても分かるように、どこかスマートに身を隠し、逃走をしながらもスピーディに敵を片付けていくところなど、「007」シリーズや「ミッション・インポッシブル」シリーズとは違う形での、スパイアクションの形を感じるのです。近年、このジャンルの作品が多い中、どう差別化していくのか、(もし、これ以後もボーンシリーズが続くのなら)難しいところですが、40代となって新たな魅力を発するマットの色がよく出る形を、今後も模索して欲しいなと思った鑑賞でした。
次回レビュー予定は、「神様の思し召し」です。