『Viva!公務員』:公務員という職業にへばりつく男のドタバタコメディ!これは左遷という名のロードムービー!

Viva!公務員

「Viva! 公務員」を観ました。

評価:★★★

ケッコが子どもの頃から夢だった公務員の職に就いて15年。それは一生給料が保証される安定した職業、、、のはずだった。あるとき改革派の政権になって、さぁ大変。人員削減という衝撃的な方針が発表されたのだった。悠々自適な公務員生活が一転。役所で唯一のリストラ対象になってしまったことから、早速政府のリストラ担当者から退職を勧告される。ケッコは断固拒否するが、嫌がらせのように僻地への転勤が決まるのだった……。イタリアで自国作品の興行収入歴代1位を記録したコメディー。主人公ケッコを演じるケッコ・ザローネはイタリアの喜劇俳優。本名のルカ・メディチ名義で原案・脚本・音楽も手がける。監督・原案・脚本は、本作がケッコ・ザローネとのコンビ4作目となるジェンナーロ・ヌンツィアンテ。

子どもの頃にはプロ野球選手であるとか、お花屋さんであるとか、今考えると何考えているんだと思う職業を憧れるものです。僕も思い返すと、一番最初になりたかった職業は幼稚園の頃に書いたタクシーの運転手(笑)。ちょうど親戚のオジサンが個人タクシーの運転手だったこともあり、残業もなく、いつ働いているのか分からない様に、すごく悠々自適さを子どもながらに羨ましいなとオッサン的な思考を思っていたものです。その後は科学者とか、F1のエンジニアとか、まぁまぁ色々な夢想したものの、本作にあるような公務員になりたい!と思ったことは一度もなかったです。サラリーマンになって、資格取得の勉強をしに、働きながら専門学校に通っていたこともあるのですが、そのときに同じ学校の中にあった国家公務員や地方公務員を目指すクラスの学生さんたちも遠目に見ていたこともあります。難しい勉強をする割に、給与とか、勤務時間とか、安定性とかを目指しているとしか見えず(もちろん、官僚に、政治家にという目標を持っている人もいたかもしれないですが)、何か公務員という職業にあまり魅力を感じない自分。そんな自分が本作をどのように観るのだろうと、少し自分の反応に興味がある鑑賞となりました(笑)。

ここ数年、イタリア映画が自分の中ではヒットだったのですが、本作もご多分に漏れず、(日本にあまり受け入れられないコメディという分野ではありますが)レベルは高い作品だと思います。ケッコのとにかく公務員という職業に意地でもへばりつく様が、とにかく面白い。ソニア・ベルガマスコ演じるリストラ担当者が可哀想になってくるくらい、ベタベタなへばりつき具合には終始笑いが止まらない感じです。映画を観終えても、公務員という仕事が魅力的に映った、、という展開にはならないものの(笑)、ケッコの様々な左遷具合を通して、彼が職業というものを超えて何か必要な本質を掴んでいく様が、ヒューマンドラマとしてしっかりとした幹を形成していく。「ライフ・イズ・ビューティフル」のような深遠なテーマではないものの、表面的なコメディ劇の裏側に、どこか職業の上っ面しか見ない現代人たちの皮肉も少し込められているように思います。だからベタなコメディという切り口でも、映画として鑑賞に耐えうる作品になっていると感じました。

次回レビュー予定は、「三度目の殺人」です。

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