『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』:ガンダムが登場する直前の出来事を描く。モビルスーツよりも物語が紡ぎ出す戦争のきな臭さに目が行った!

機動戦士ガンダム

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦」を観ました。

評価:★★★

宇宙世紀0079年。人類は宇宙ですら戦場に変え、ジオン公国軍は、世界人口の半数を死に至らしめたブリティッシュ作戦・コロニー落としを実行し突き進んでいた。一方、劣勢を挽回すべく圧倒的な戦力で挑む地球連邦軍。そしてその裏では、ザビ家の陰謀が交錯する。変えがたい運命に翻弄されるセイラ・マス、ジオン軍のパイロットとなってしまったランバ・ラルやハモン、サイド7で平穏に暮らすアムロやフラウの日常生活にも暗い影が訪れようとしていた。そんななか、復讐に駆られたジオン軍のエース、シャア・アズナブルの「赤い彗星」としての伝説が誕生する……。『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン・アニメーションディレクターを務めた安彦良和のコミックをアニメ化した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズ第5作。宇宙での人型兵器を投入した未曾有の戦争“一年戦争”の幕開けを2部構成で描く第1弾。

安彦良和によるガンダム・リブート(THE ORIGIN)も新章に突入。シャアの生い立ちについて語ってきた前作までの4部作(「青い瞳のキャスバル」「哀しみのアルティシア」「暁の蜂起」「運命の前夜」)が終結し、いよいよ物語としてはテレビアニメ版の機動戦士ガンダム初回と同じところまでやってくるということになります。もともとコミック版のORIGINはテレビ版のところからスタートしていることもあり、今回はそこに立ち戻るのかなと思いましたが、いや本作はその宇宙世紀0079年から開始された一年戦争の頭から描いています。なので、シャア専用ザクは出てくるものの、ガンダムの登場はもうしばらく先ということになるでしょうか。。(今までの時間軸だと、直前ということになりますが)

もともと、アニメ版ガンダムでも人気を博したのが、ガンプラと呼ばれるモビルスーツのプラモデルがアニメとともにヒットしたように、ロボットとしてのガンダムそのものにあるのかなと思います。もちろん、本作でもスクリーンの大画面で各モビルスーツの雄姿を堪能することはできるのですが、僕は前シリーズ以上に戦争に突入するときのきな臭さというか、人という集団が相互に戦うという虚しい戦争に突入してしまう哀しさみたいなものが溢れた作品になっているように感じます。「宇宙戦艦ヤマト」などと違い、今までガンダムにそうした戦争くささというのはあまり感じることはなかったのですが、コロニー落としにしろ、ジオンによるコロニー内の掃討作戦にしろ、本当に戦争の前には人の命は儚いものだなと感じます。今、日本という国も北朝鮮問題で、有事が起こるのではないかというきな臭さが漂うような空気感になっていますが、きっと戦前の日本でも、こうした人の命を考えず、何か国の論理で哀しく物事が進んでしまう恐ろしさというものがあったのではないかと痛感します。ちょうど別作品でガンダムの生みの親、富野由悠季が自身の戦争観を語る作品を観たばかりだったので、余計にそういうことを強く感じる作品鑑賞となりました。

次回レビュー予定は、「スパイダーマン ホームカミング」です。

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