『22年目の告白 私が殺人犯です』:韓国映画のリメイク作品だが、作品の力としてはリメイク元のほうが上。それでも日本版の良い点もピリリと光っている。。

22年目の殺人 私が殺人犯です

「22年目の告白 私が殺人犯です」を観ました。

評価:★★☆

22年前、5人の犠牲者を出しながら、未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件があった。その犯人を名乗る男が突如、記者会見を開き、告白本を出版すると発表した。会場に現れたのは不敵な笑みを浮かべた、曾根崎雅人という謎の男。素顔を晒し、肉声で殺人を告白する彼の姿にネットを中心に、世間は熱狂する。しかし、曽根崎の行動はそれだけに留まらなかった。マスコミを引き連れ被害者家族に謝罪、時効を迎えた後も執念深く事件を追う刑事の挑発、熱狂するファンたちに向けての堂々のサイン会、、彼の行動は一大センセーションを巻き起こしていくが、それと同時に事件に隠された闇の部分が徐々に浮き彫りとなってくる。。韓国映画「殺人の告白」を日本でリメイクしたサスペンス。監督は「ジョーカー・ゲーム」の入江悠。

本作のあらすじを聞いたときに、どこかで聞いたお話だな、、と思ったのですが、どうやら韓国映画のリメイクで、そのリメイク元の作品「殺人の告白」もスクリーンで観ていました。両作を対照評価すると、同作品のネタバレとなってしまうのでできうる限り避けますが、僕はリメイク元の韓国映画のほうが作品の力強さが上かな、、と思います。まぁ、時効を迎えた連続殺人事件で、いくら刑事罰には問われないとしても、その殺人を告白してしまえば民事上責任云々免れないわけで、それを堂々と告白してしまう犯人なんていないでしょう。それでも告白してきた犯人・曽根崎には別の狙いがあるわけで、それが作品としても重要な部分となっているのは日韓のどちらの作品も変わりません。曽根崎の存在は、事件について一種の狂言回し的な立場になるわけで、それはリメイク版の藤原竜也より、韓国版のパク・シフのほうが美男子なだけに、能面っぷりが板についている分だけ、事件の闇みたいなところがすごく浮かび上がってくるように思うのです。

それに殺人事件自体の描写も、頑張っているものの韓国版のほうが上かなと思わざるを得ません。ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」もそうでしたが、降りしきる雨の中で、黒背景の中でうごめく事件シーンは韓国映画らしい描写力を感じます。逆に日本版のいいところは、曽根崎に挑発される時効事件の担当刑事・牧村と被害者となる妹とのエピソードですかね。ざらつくフィルム調のフラッシュバックシーンの中で、彼女のエピソードが仄かに温かみがあるだけに、事件の残虐性が引き立っていると思います。ただ、こうした事件の真相に迫っていくラスト部分がすごくチープなのが残念。事件の真相に切り込んでいくニュースキャスターとの対談まではいいのですが、アクション映画ばりになった韓国版と比べると、本作のラストのチープさが目を覆いたくなるところでもあります。。

それに牧村と曽根崎とのつながりに、もう少し踏み込みが欲しかった。最後は同志愛のような男と男のつながりにまで昇華させ、事件の真実を解明したい家族とのつながりまで描ききれば、韓国版に負けない(というか、ここまでやると結局韓国版と同じになってしまうけど。。)作風になったかと思います。

次回レビュー予定は、「おとなの恋の測り方」です。

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